探鳥記 北海道縦断① 2018.6.15 旭川⇒稚内

今回の探鳥目的は北海道で絶滅寸前のシマアオジを観察すること!

シマアオジがまだ北海道で普通に見られる時代になぜ観察しなかったのと後悔し、今年こそ今年こそと思い続けてようやく重すぎる腰を上げることにした。

日程は2泊3日で、旭川空港⇒稚内⇒旭川⇒帯広空港の強行スケジュールである。

目的のシマアオジの生息状況であるが、ここ数年はサロベツ原野に数つがいのみという厳しい状況は変わらないようだ。

確かに最近の観察機会と個体数は、繁殖地の北海道より渡り時の離島の珍鳥スポットの方が多いと思う。

しかし、繁殖地の涼しげな草原であの寂しげなさえずりを是非聴きたい!

GW明けに何とか旅行の手配を完了するも、今年もシマアオジが無事にサロベツに飛来する保証はない。

もはや毎年数羽しか観察できないのだから、越冬地や渡りの途中で落鳥して飛来が途絶える可能性もある。

心配する日々であったが、6月に入ってサロベツ湿原センターのHPに今年も飛来したとの一報が!

生息数が少ないため吉報が入った日以後も、どうか無事観察できますように!と心配する日々は依然として続いた。

旭川空港→雄信内駅付近 移動中 9:00~13:00

8時半過ぎには旭川空港に到着、この時間に旭川にいるとは不思議な気分だ。

本日の宿泊は稚内で、明日は終日シマアオジ探鳥に時間を割り当てる予定であるが、今日のうちに観察できるに越したことはない。

そこで寄り道せずに旭川からサロベツ原野まで真っ直ぐ向かうことにした。

旭川空港からサロベツ原野付近の雄信内駅付近までは、車窓からの探鳥と小休止した際に付近を探鳥するぐらいであった。

天塩川付近を走行中に電柱に止まるオオジシギを観察したのが印象に残っている。

見聞きした野鳥(観察順)

スズメ
ハシブトガラス
モズ
マガモ
アオサギ
ムクドリ
トビ
センダイムシクイ
ウグイス
オオジシギ

10種

雄信内駅周辺 13:00~13:30

そろそろサロベツ原野に入る辺りで車窓からトビではない猛禽類が見えたので、車を止めてしばし探鳥。

長く尖って見える頭部、太い2本の黒帯がある尾羽、翼の形からハチクマと判断。

同時に仲間がさらにチュウヒトビを発見した。

この勢いでオジロワシ!と行きたいところだが見当たらない。

探鳥を終えて、付近にある渋すぎる?宗谷本線の無人駅になぜか引き込まれた。

駅舎を撮影していると付近からカッコウツツドリの声が聞こえてきた。

その声で一気に探鳥モードになり、樹上で鳴くツツドリを発見。
ツツドリ

後もヤマゲラアオバトの声も聞くことができ、思わぬ立ち寄りが嬉しい出会いとなった。

見聞きした野鳥(観察順)

ハチクマ
トビ
チュウヒ
カッコウ
ツツドリ
ウグイス
ヤマゲラ
カワウ
アオバト
アオジ
センダイムシクイ
ホオジロ
カワラヒワ

計13種

次回はいよいよサロベツ原野での探鳥。

野鳥 営巣中のコゲラ 2018.6.2 鎌倉 源氏山

今回は巣穴を掘削中のコゲラの動画です。

コゲラは日本で観察されるキツツキの仲間では一番体が小さく、スズメくらいの大きさです。

コゲラのくちばしは短くて小さく、またくちばしを木に打ち付ける力が弱いため、アカゲラアオゲラのように生木を掘削して巣穴を作ることができません。

ですからコゲラは小さな力でも巣穴を開けることができる朽ちかけた枝などに営巣します。

6月初旬ですから、2回目の繁殖活動の可能性もあります。

おまけ動画

野鳥 マキノセンニュウ 2016.6.6 霧多布

今回は全回のオオジシギのそばで観察したマキノセンニュウです。

①マキノセンニュウの全長は12㎝で、似たような生息環境にいるノビタキオオジュリンなどと比べても小さいです。

②体色が上面は淡茶褐色で下面は白く、目立たないです。

③センニュウ=潜入の名前が付いているように見やすい場所になかなか出てきません。

④鳴き声はシマセンニュウエゾセンニュウのような存在感ある音色と大きさではなく、小さな単調な音色で虫の鳴き声のような連続音です。

⑤地元のバーダーの話によると個体数が以前より減っているとのこと等から、マキノセンニュウは気合を入れて探すぞ!という類の野鳥と思います。

 

チリリリリという連続音で1分以上続くことも珍しくないです。

事前にマキノセンニュウの声を予習していないと、虫の声と勘違いする可能性は高いです。

虫の声といえばヤブサメの声も虫に似ていますね。

野鳥 オオジシギ 2016.6.6  北海道 霧多布

今回は2年前に北海道の霧多布で観察したオオジシギです。

夕方17時過ぎから湿原に入り、上空を鳴きながら飛び回るディスプレイフライトを盛んにするオオジシギを観察しました。

オオジシギはフライトを終えては木道に降り立ち、しばらくじっとしたり時々鳴いたりしていました。

以下はその時の様子です。※両地点とも撮影時間も距離も近接していたので、同一個体の可能性もあります。

A地点

オオジシギまで距離はありましたが、そろりそろりと飛び去らないように近づいたことを思い出しました。

B地点

おまけ動画 前半がA地点、後半がB地点

前半はピンボケ動画になってしまいましたが、音声が入っていたのでアップしました。

BGMは前半はノビタキ、後半はマキノセンニュウです。

探鳥記 2018.5.20 栃木県民の森 矢板市 3:30~11:30 晴れ

初めて行く探鳥地で夏鳥の早朝のコーラスを聴く!ことが今回のコンセプト。

いつものようにギリギリ(今回は東北自動車道の車内で!)まで鹿沼市の井戸湿原と迷ったが、矢板市の栃木県民の森へ。

暗闇の中、県民の森の大駐車場へ到着。

外に出ると早速ヨタカの「キョ、キョ、キョ、キョ、、、、」という連続する声が聞こえてきた!

暗闇の中、声を頼りにドキドキしながらどんどん駐車場の端へ進むと、仲間が飛翔するヨタカを発見。

しばらくした後、ヨタカが山の斜面上にある杭のような枝の先端に止まったところを無事観察。

声は何度も聞いているが、姿を見たのは初めて、しかも繁殖地で観察できたのが嬉しい。

動向メンバーの観察を総合するとその後2羽のヨタカが飛翔していたそうで、斜面の奥の方へ飛び去ってしまったとのこと。

ヨタカを見聞きできただけでもテンションが上がるのに、今度はそばの森から木魚のような連続音をするオオコノハズクの声が聞こえて来たではないか!

一度だけの連続音を頼りに付近の樹木を駄目元探索したが、見つからなかった。

まだ日の出前ではあったが、キビタキの第一声で夜明け前のコーラスが開始。

依然として駐車場付近は暗く、周囲の様子が分からない。

どんな地形が広がっているのか、野鳥の声を頼りに想像した。

キビタキの次はクロツグミの朗らかな声が聞こえて来た、それも複数いる模様。

遠くではフクロウの声が聞こえている。

この頃になると、ようやく周囲が明るくなり始めて、周囲の様子が分かってきた。

先ほどヨタカを見聞きした場所は伐採した後の斜面であり、いかにもヨタカが好きそうな場所であった。

私が早朝コーラスで注目していたエリアからはサンショウクイサンコウチョウも聞こえてきて予想以上にいろいろな野鳥がいる。

それもそのはず、そのエリアは今回これから探鳥しようとする宮川渓流歩道の下流域であった。

上流域も探鳥する予定だが、まずは下流域から探索開始。

渓流に沿って散策路を進む。

渓流といっても、年によっては地下に水が伏流することがあるようで、今回は水枯れの状態であった。

渓流といえばオオルリミソサザイ直ぐに思い浮かべるが、お約束通り?オオルリの囀る姿を簡単に観察することができた。

水は流れていないが、感じの良い雰囲気の中を進む。

上空を時々「ヒリリ、ヒリリ」と鳴きながらサンショウクイが通過する。

下草からは強い高音でシシシシシとヤブサメの声がする。

近くで声がするから姿も観察できるのでは?といつも淡い期待をするが、今回も姿は見れず。

そして、このコースの主役のクロツグミの登場。

間近で朗らかな声を聞いたり、姿を見せてくれた。

また早朝コーラスで頑張ってお腹が空いたのか地上で捕食行動をするクロツグミを雄雌共に観察することができた。

宮川渓谷下流遊歩道の終点まではゆっくり歩いて30分くらい、今来た道を折り返す。

復路では復路で楽しんだ鳥の他にキビタキを見聞きしたり、森の奥から聞こえて来るサンコウチョウの声を聞いた。

 

下流コースのスタート地点に戻り、今度は上流コースを探鳥。

上流コースは渓流に水が流れており、カワガラスミソサザイがいかにもいそうな雰囲気。

周囲の夏鳥の声を気にかけながらも川沿いに意識が向かう。

しばらくすると川面に黒っぽいものが動いた。

カワガラスだ!

残念ながら直ぐに川の上流へ飛び去ってしまったが、我々もそちらに向かうのでまた会えるだろう。

カワガラスの次はミソサザイの出番だ。

ミソサザイのいる雰囲気はあるのだが、この日は結局最後まで見聞きできなかった。

上流コース折り返し付近ではオオルリを間近で観察する機会に恵まれ、ここまでイマイチの観察状況が好転。

復路ではカワガラスを何度も観察する機会に恵まれ、このコース内に少なくとも2ペアいることが分かった。

上流コース探索を終えて、そばにある森林展示館に立ち寄る。

森林展示館には野鳥の剥製が多数展示されていた。

オオコノハズクヤマドリの剥製も印象に残ったが、何より驚いたのはヤマショウビンの剥製!

県内での落鳥個体であったが、ヤマショウビンといえば対馬を筆頭に南西諸島や日本海側の島での観察記録が多い。

関東平野も通過するんだ!と新鮮な驚きであった。
※この原稿を書いていて思い出しましたが、数年前に谷津干潟で春の渡り時に観察されていましたね。

展示館の見学を終えて、再度下流コースをざっくり流し探鳥を開始。

早朝の1回目に比べて時間が遅いので見聞きする機会は明らかに少ない。

2回目の主役はキビタキであった。

美しい声と姿を何度も見聞きできた。

 

今回は8時間近く滞在したが、夜のヨタカオオコノハズクフクロウホトトギスから始まり、クロツグミサンショウクイオオルリキビタキなど夏鳥を十分堪能でき、当初の目的も達成された。

まだまだ自分の知らない素晴らしい探鳥地があり、あるはずだと再認識した旅となった。

見聞きした野鳥(観察順)

ヨタカ(2羽を確認 声・姿)
ホトトギス
オオコノハズク声
キビタキ
クロツグミ
フクロウ声
センダイムシクイ
キジバト
ホオジロ
ウグイス
ヒヨドリ
メジロ
サンショウクイ
ハシブトガラス
イカル
ハシボソガラス
サンコウチョウ
オオルリ
コゲラ
ヤブサメ
アカゲラ
シジュウカラ
メボソムシクイ
アオゲラ
ヤマゲラ
ヒガラ
アオバト
カワガラス

計28種

野鳥 ヨーロッパトウネン 2018.5.12 三番瀬

今回は前回のトウネンの群れの中にいたヨーロッパトウネンです。

午前中に谷津干潟で遠くにいるヨーロッパトウネンをスコープで10分近く観察し続けて、十分堪能したはずでした。

次回は間近で観察でしたいなぁと思っていた矢先、まさかの再会となりました。

じっとしているトウネンの繁殖羽をじっくり一個体づつ観察していくうちに、群れの中に何か異質の個体がいることに気が付きました。
中央にいるのがヨーロッパトウネン

どこが異質に見えたのか?

寸詰まりの胴体と喉辺りの白さの2点がパッと見の違いでした。

トウネンに比べて、寸詰まり、特に胴体の後ろ半分が圧縮されている、のように見えると言われますが、今回の個体が今までで一番寸詰まりのように見えました。

アイドロップ、涙の形、を横向きにしたような胴体という表現を聞いたことがありますが、この表現にも納得しました。


頭部拡大図 左がトウネン、右がヨーロッパトウネン

喉周辺の白さも目立ちました。


参考画像 前回登場した繁殖羽の赤褐色が薄いトウネン 薄くてもヨーロッパトウネンのような白さではありません。

ただし、トウネンの繁殖羽へ移行中の個体も初期段階は白いので注意が必要です。


頭掻き中のヨーロッパトウネン この姿勢ですと胴体が特に丸く見えます。


ほぼ正面からですが、喉の白さが目立ちます。


おやすみなさい、、、とはいかずに直後に飛び去ってしまいました!

動画

※途中ヨーロッパトウネンが座ってもいないのに座ったとミスリードしています!!

 

野鳥 トウネン 2018.5.12 三番瀬

今回は先日三番瀬で観察した繁殖羽あるいは移行中のトウネンです。

到着した時はほぼ満潮の状態、最後まで手前で食事をしていたシギチドリ達も1羽1羽と飛び去って行きました。

ふと前方の波打ち際に目をやると、トウネンの群れがじっとしていました。

さきほど谷津干潟で何百羽と観察してきましたが、今回は近距離でしかも動きが少ない観察状況!

鮮やかな繁殖羽の模様、作り、長さをじっくり観察できました。
手前の左個体は右個体に比べて、特に肩羽に注目すると繁殖羽の移行中のため羽根の大きさが小さく、赤褐色部分も少ないですね。

右個体は左個体に比べて、特に顔から胸周辺に注目すると繁殖羽へ移行中のため赤褐色の鮮やかさがないですね。

動画

波の動きに動じる個体、動じない個体とどちらもカワイイです。

というより、何をやってもカワイイと思える存在でした。

次回はこの群れの中にいたヨーロッパトウネンです!

野鳥 サルハマシギ 2014.4.26 谷津干潟

まだまだ続くサルハマシギ

今回は4年前に谷津干潟で初めて観察した時の個体です。

この時期は赤褐色の繁殖羽のサルハマシギが観察できると思っていたので、見つけるのに苦労しました。

初めて見た印象は、くちばしが細長いことと周囲にいたメダイチドリハマシギに比べて機敏な動きをしていたことです。

このサルハマシギ、赤褐色の繁殖羽は現れていませんが、肩羽に点々と黒い軸斑の繁殖羽が生え始めています。

ですから冬羽から繁殖羽の夏羽へ移行中の個体です。

それにしても4月後半にしては冬羽のように赤褐色がなく、珍しい個体と当時も今も思っていました。

今回の掲載にあたり、書籍やネットで調べたところ、ネット上このような個体がたった数日後に赤褐色の繁殖羽へ激変?したケースがありました。

この個体は数日は谷津干潟にいましたが赤褐色へ移行した話は聞いていません。

おそらく次の休憩地あるいは繁殖地では赤褐色の姿が見られたのでしょう。

動画

 

野鳥 サルハマシギ 2018.5.12 谷津干潟

今回は先日谷津干潟で4年ぶりの再会となったサルハマシギです。


手前がハマシギ、奥の2羽がサルハマシギ 特に一番奥のは、流れるようなスマートな胴体ですね。

繁殖羽での観察の場合、ハマシギは腹黒を、サルハマシギは顔から腹にかけての赤褐色に注目すれば識別は容易です。

一方、非繁殖羽での観察の場合はそうはいかず、くちばしや脚の形状を中心に識別することになります。


前にいるトウネンに比べると大きさの差はハッキリと分かります。

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後方そばにいるハマシギのくちばしと比較して、明らかに長さは短いです。

一般的にはサルハマシギの方が長いとされていますが、この画像から短い個体もいることが分かります。

愛読書の「シギ・チドリ類ハンドブック」にはハマシギ(16~22㎝)サルハマシギ(18~23㎝)と記載されており、体の大きさに1~1.4倍くらいの幅があります。

その幅が個体差?亜種の差?雄雌の差?に起因している分かりませんが、体の大きさの点から考えて、くちばし長さに逆転が起きても納得できます。

サルハマシギの場合、くちばしの長さは雌の方が雄より長めなので、この個体は雄の可能性が高いのでは?

動画1

この動画だけからの感想ですが、サルハマシギの方がハマシギに比べて素早く動いて見えます。

脚が長く広い歩幅で移動できるからスピード感があるのでしょう。

後半は3羽のサルハマシギが登場。

繁殖羽の進行具合はそれぞれ違いますが、どの個体もハマシギに比べるとスマートな胴体に見えます。

最後は水浴びをしています。

そばにいるキアシシギと比べると一回り小さいです。

動画2

サルハマシギの捕食方法は、地表をついばむことが多いトウネンに比べて、細長いくちばしの利点を生かして干潟にくちばしを突き刺す動作が多いですね。