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ソリハシシギ 2020.8.16 三番瀬

今回の特集は昨年のこの時期に三番瀬で観察したソリハシシギです。

この個体は、成鳥の夏羽の特徴である肩羽上方にある太く伸びた黒線のような斑がまだ残っており、また下方にある雨覆がかなり摩耗しています。肩羽辺りに新鮮な冬羽が生えているような感じがしますが、どうでしょうか。成鳥夏羽後期か冬羽へ換羽中の個体と思います。

採食行動中の動画
この個体は捕獲したカニを直ぐに食べるだけでなく、水たまりまでカニを運んで水洗いしてから食べる行動もしていました。この違いはカニの大きさのよって分けているように見えました。

野鳥 ソリハシシギの姿勢と大きさ比較

 

今回はソリハシシギの姿勢と他のシギチドリとの大きさ比較です。

姿勢


行動中の姿勢  2014.8.3 平潟湾


休息中の姿勢(首が縮まり羽根を膨らませている状態)は行動中の姿勢と比べて印象がずいぶん変わります。 2014.5.6 葛西臨海公園


真横からの画像でないのが残念ですが、特徴的なくちばしを羽根の中に隠して寝てしまうとソリハシシギと分かりにくくなります。2014.5.6 葛西臨海公園

この場合、よく似たキアシシギとの区別が問題になりますが、胴体の大きさや肩羽にできる太い黒線が識別のポイントとなるでしょう。

以下の画像は同じ場所にいたキアシシギで、ソリハシシギと同じ格好で休憩中です。

灰色の体上面と黄色の脚が共通なので似ていますね。

春の渡りの時期に撮影したので、両者とも繁殖羽となっており、繁殖羽の特徴に注目すれば、両者の違いが分かります。

ソリハシシギでは肩羽根にでる太い黒線が、キアシシギでは胸から脇に出る波上の横斑が識別点です。

問題は冬羽、あるいは繁殖羽から冬羽への移行中の場合です。

この時期は両者の繁殖羽の特徴が消えるか目立たなくなり有効な識別点でなくなります。

そうなると最後は大きさの違いが有効となります。

 

大きさ比較

 

前にいるのがソリハシシギ、左奥がキアシシギです。

両者が並んでいるような分かり易い画像がないのが残念ですが、大きさの印象度合いを表す胴体はソリハシシギの方がキアシシギに比べて一回り小さいように見えます。

ちなみに背中が見えているのと右の個体はオバシギ幼鳥です。

野鳥 似たもの同士 ソリハシシギ・キアシシギ・イソシギ

まずは動画で動き方を確認しましょう

以下は過去に掲載した動画をまとめてみました。

ソリハシシギ 

キアシシギ

イソシギ

主な共通点

  • 体の大きさと形が似ている。
  • 行動中に頻繁に尾を上下に振る。独断による頻度の高い順:イソシギソリハシシギキアシシギ
  • 体の上面がグレー系、下面が白。
  • 種類・数ともにシギ類の観察機会が減少している状況においては、この3種は見やすい部類に入る。

主な相違点

  • イソシギは留鳥(北日本では夏鳥。ちなみに冬季にイソシギを観察する機会が増えると感じるのは、北日本組と留鳥組が混ざるのではないかと思っています)。キアシシギソリハシシギは渡り鳥。
  • くちばしは、ソリハシシギは反っている。キアシシギイソシギは真っ直ぐ。
  • 脚の色は(個体差はありますが一般的に)、キアシシギは黄色、ソリハシシギはオレンジ色、イソシギは緑黄色。繁殖期の脚の色は鮮やかになる傾向にあります。
  • 体毛の分かり易い特徴としては、イソシギは翼の付け根の方まで体の下面の白がくいこむ(L字型と説明すると理解されることが多い)、キアシシギは胸から脇にかけて波状の横斑(繁殖羽のみ)がある、ソリハシシギは肩羽付近に太い黒線(繁殖期に目立つ)があるように見える。
  • 大きさは胴体に注目すると、キアシシギに比べて、イソシギソリハシシギは一回り小さいように見える。

最後に

この3種をフィールドや動画や図鑑などで識別ポイントを意識して何度も見ることで、この3種だけでなく他のシギを識別する際の見方も変わり、識別に役立つと思います。

以下はこの3種を識別できれば、識別しやすくなるシギをざっと挙げてみました。

  • イソシギ⇒クサシギ⇒タカブシギ
  • ソリハシシギ⇒オオソリハシシギ(くちばしが反ってるつながりで)
  • キアシシギ⇒メリケンキアシシギ

これら3種は今まさにシギチドリの渡りの時期ですから、同時に観察できる可能性は高いです。

野鳥 ソリハシシギの羽繕い&頭掻き

前回からの流れで今回もソリハシシギです。

2014.8.24に葛西臨海公園の汽水池で撮影しました。

画像でソリハシシギの右隣にいるキリアイが本来の撮影目的でした。

が、今回はソリハシシギが主役。

だいぶ距離が遠く揺れもある動画ですが、持ちネタが少ないもので、、、。

落ち着きがなくいつも体を動かしているイメージのソリハシシギ

羽繕いも頭掻きも他のシギに比べて速いですね、キリアイに比べて倍近いスピード感があります。

頭掻きはシギ科なので直接に脚で頭を掻く直接法ですね。画像では左右1回づつ掻いています。

しばらく両者が見つめ合って微妙な雰囲気を作っているように見えるのですが。

 

野鳥 ソリハシシギの採食行動

以下の動画と画像は2014.8.3の夕方に平潟湾で撮影したソリハシシギの採餌です。

渡りの途中に平潟湾に立ち寄ってくれました。

動画 

0:25 
カニを捕まえた後に、カニに着いた泥を洗い流すため?に水に浸ける。が、その際にカニが逃げてしまう!
0:28
再度逃げたカニを捕まえることに成功して食べる。

画像

スマートな体の割にくちばしと脚ががっちりしているように見えませんか?

この角度だとくちばしが真っ直ぐに見えてキアシシギみたいですね。