「ヨシガモ」カテゴリーアーカイブ

ヨシガモ 求愛行動 2010.1.19 渡良瀬遊水地

今回の特集はヨシガモの求愛行動です。


左)ヨシガモ雌 右)ヨシガモ

基本形は頭を下げた後に頭を持ち上げて仰反る→お尻を上に持ち上げます。

動画ではお尻を振り振りしながら持ち上げたり、お尻を持ち上げる前に翼をパタパタする個体もいます。

ヨシガモ雄は装飾のような鎌形の三列風切(以下の画像)を持っており、この羽根を見ると機能目的ではなく雌へのアピールの装飾目的のように思える。

ちなみにヨシガモの英名Falcated Duckfalcateは「鎌形の、三日月状の」という意味で、この雄の三列風切の羽根が名前の由来であろう。

カモの求愛を見ていると、雄は自分のアピールする部位を分かって、雌に見やすい位置やポーズを計算に入れているのでは?と思うことがあります。

野鳥 ヨシガモの求愛行動 2018.12.24 渡良瀬遊水地

今回は渡良瀬遊水地で観察したヨシガモ雄の求愛行動です。


今回の主役 ヨシガモ雄 2014.1.13鴨居

雌の前で頭部を前方に伸ばした後に、お尻を持ち上げる動作をしています。

鎌のような形で下の方に垂れ下がる三列風切羽を雌にアピールしているように見えるのですが、どうでしょうか。

この三列風切羽は装飾に似た意味合いがあるように見えるのです。


これからの時期、ヨシガモはもちろん他のカモについても、普段の動きと違う求愛行動に注目です!

野鳥 ヨシガモ 2017.12.17 皇居

す今回は皇居で観察したヨシガモです。

ヨシガモは各お堀合わせて40羽以上観察できて嬉しい驚きでした。

というのも神奈川県ではヨシガモは普通種と呼べるほど観察できるカモではなく、毎年行っている県内ガンカモ調査でも例年50羽前後の記録なのです。

横浜に限れば例年数羽の記録であり、毎年横浜市内をヨシガモ探しに奔走します。

というわけで雄の綺麗な頭部の色合いも合わせて思い入れが強いカモなのです。

探鳥記にも登場しましたが、下画像のヨシガモは構造色で見え方が変化するとはいえ、赤紫色の目立つ個体でした。


ヨシガモ雄成鳥 垂れ下がる独特の三列風切が目立つ

動画 


上画像と同一個体で、元旦に掲載した画像です。


同じ場所にいた別個体


目を閉じると白いまぶたが現れる。


雌成鳥の非繁殖羽


上画像と同一個体
三列風切の基部は淡色なので成鳥の非繁殖羽 ⇔①幼鳥は基部まで全て黒い ⇔②成鳥の繁殖羽は他の部位と同様の黒褐色と橙褐色の斑が現れる


雄の方が雌より大きい  雌はやはり三列風切の基部が淡いので成鳥の非繁殖羽


大きさ比較 ヨシガモ48㎝、キンクロハジロ40㎝

1月前のヨシガモの様子⇒ここで閲覧できます
1月前のヨシガモの様子⇒ここで閲覧できます

野鳥 ヨシガモ雌 2017.11.12 神栖市神之池

前回はヨシガモ雄でしたので、今回はヨシガモ雌を掲載します。

個体A 非繁殖羽

三列風切が黒褐色で根元の方は淡い⇒雌の非繁殖羽、雄の幼鳥 ⇔雌の幼鳥は全て黒褐色   ⇔雌の繁殖羽は黒褐色の中に褐色斑がある。
肩羽に淡褐色の斑と羽縁がある⇒雌の繁殖羽(よりハッキリ出る)、雌の非繁殖羽 ⇔雌の幼鳥はないか目立たずにのっぺりした表面に見える。⇔雄の幼鳥は縦斑あるいは無斑。

個体B 非繁殖羽

個体Aとほぼ同じ状態ですが、三列風切の濃淡はこちらの方が分かり易いです。

個体C 雌の非繁殖羽と思いきや雄の幼鳥と推定


まずは三列風切から判断して幼鳥の雌ではない。

肩羽に小さい縦斑があるのと、胸元は幼鳥特有の細かい小さな斑に見えるような気がします。⇔雌の成鳥は個体A・Bのように大きい斑の模様です。

となると画像からは雄の幼鳥に見えてきました。

脇羽も幼鳥特有の尖った感じに見えます。

現時点では雄幼鳥にしておきますが、雌と間違いやすいので掲載します。

参考画像 非繁殖羽 2015.1.24  鶴見川


場所も時期も違いますが、1月下旬の雌の装いです。依然として繁殖羽の特徴である三列風切の褐色斑が出ていません。

おそらくそろそろ渡り始める3月頃なら繁殖羽が観察できると思います。

今シーズンはヨシガモの繁殖羽に注目して行きたいと思います。

野鳥 ヨシガモ雄 2017.11.12 神栖市神之池

11月11日の神栖市神之池探鳥では探鳥記にもあるようにヨシガモをじっくり観察することができました。

この時期のヨシガモは非繁殖羽から繁殖羽に移行中の状況なので色々な羽衣の様子を観察できて面白かったです。

特にヨシガモの雄の繁殖羽は綺麗な頭部と長い3列風切が目立ちますが、これらの部位の成長具合を観察できたのは有意義でした。

今回はまず雄を、次回は雌の装いを掲載します。

まずは完成形である雄の繁殖羽の状態を確認しましょう。

雄の繁殖羽 2014.1. 13  鶴見川

 

以下の画像では、この完成形である繁殖羽になる途中の羽衣の様子です。
この画像との違いを見比べてみて下さい。
特のお尻付近にかかる笹状の白黒のハッキリ出た三列風切の長さや色に注目です。

※個体A⇒Dの順で繁殖羽へ換羽が進行する状態に並べています。

個体A エクリプスから繁殖羽へ移行中


まずは顔の下、水面付近に雄の繁殖羽の白黒の細かな模様が見えます⇒雄。
次に笹状に見える三列風切は縦に濃淡のハッキリした模様⇒エクリプス状態の成鳥 ⇔幼鳥は羽根の大部分が黒褐色で根元が薄い。
また画像では黒く見える翼鏡の右隣りの雨覆いは灰白色な点も成鳥の特徴 ⇔幼鳥は灰褐色の斑と灰白色の羽縁をしたウロコ模様。
今回観察した個体の中では1番換羽の進行が遅い個体でした。

個体B 幼鳥から繁殖羽へ移行中と推定


胸や脇や三列風切の換羽はかなり進行中ですが、顔や肩羽などはまだまだこれからといった感じですね。
三列風切が長い曲線を描くので胴体の後ろ半分が連なってもう1羽隠れているように見えませんか?


上画像の肩羽の拡大図。
繁殖羽になる経路としては①成鳥エクリプス状態から繁殖羽へ②幼鳥から繁殖羽(第1回繁殖羽)へのパターンが考えられますが、この個体は①②のどちらでしょうか?
この場合の識別点に肩羽の模様があります。
羽根の中に淡褐色のV字や半円状の明白な模様が出ている⇒幼鳥 ⇔成鳥は薄い横斑の模様。
さらにもう一つの識別点に脇羽の最上段にある羽根の形状があります。
肩羽の下にあると白と褐色模様の脇羽が先が尖っています⇒幼鳥 ⇔成鳥は丸くなる。
しかし、あくまで肩羽の模様も脇羽の形状もその傾向にあるということなので見え方、成長具合、個体差などによって変わるので幼鳥と推定にしておきます。

個体C 幼鳥から繁殖羽へ移行中と推定


奥にいる個体を見てください。※手前の個体は同一個体か分かりませんが次の個体Dとそっくりです。
個体Cは、頭部や胸部はすでに繁殖羽のようですが、①脇羽の褐色斑が多くて目立っています②三列風切がないように見えて古い羽根が抜け落ちていると思われる③更には肩羽の大部分が旧羽の状態のままです。


肩羽の拡大図
肩羽は前述の判断基準からして幼鳥と思われます。

個体D 幼鳥?エクリプス?から繁殖羽へ移行中


脇羽上部に薄い褐色の非繁殖羽が残っています。また新しい三列風切が成長途中です。
個体Bにある識別点はこの状態になると判断できず、幼鳥かエクリプスの雄か分かりません。


上画像の三列風切(白黒のハッキリした短い羽根です)の拡大図。
雄成鳥の繁殖羽の三列風切は下の方に長く垂れ下がりますので、新羽が出始めた状態と思います。

次回はヨシガモ雌を掲載します。