11月11日の神栖市神之池探鳥では探鳥記にもあるようにヨシガモをじっくり観察することができました。
この時期のヨシガモは非繁殖羽から繁殖羽に移行中の状況なので色々な羽衣の様子を観察できて面白かったです。
特にヨシガモの雄の繁殖羽は綺麗な頭部と長い3列風切が目立ちますが、これらの部位の成長具合を観察できたのは有意義でした。
今回はまず雄を、次回は雌の装いを掲載します。
まずは完成形である雄の繁殖羽の状態を確認しましょう。
雄の繁殖羽 2014.1. 13 鶴見川
以下の画像では、この完成形である繁殖羽になる途中の羽衣の様子です。
この画像との違いを見比べてみて下さい。
特のお尻付近にかかる笹状の白黒のハッキリ出た三列風切の長さや色に注目です。
※個体A⇒Dの順で繁殖羽へ換羽が進行する状態に並べています。
個体A エクリプスから繁殖羽へ移行中
まずは顔の下、水面付近に雄の繁殖羽の白黒の細かな模様が見えます⇒雄。
次に笹状に見える三列風切は縦に濃淡のハッキリした模様⇒エクリプス状態の成鳥 ⇔幼鳥は羽根の大部分が黒褐色で根元が薄い。
また画像では黒く見える翼鏡の右隣りの雨覆いは灰白色な点も成鳥の特徴 ⇔幼鳥は灰褐色の斑と灰白色の羽縁をしたウロコ模様。
今回観察した個体の中では1番換羽の進行が遅い個体でした。
個体B 幼鳥から繁殖羽へ移行中と推定
胸や脇や三列風切の換羽はかなり進行中ですが、顔や肩羽などはまだまだこれからといった感じですね。
三列風切が長い曲線を描くので胴体の後ろ半分が連なってもう1羽隠れているように見えませんか?
上画像の肩羽の拡大図。
繁殖羽になる経路としては①成鳥エクリプス状態から繁殖羽へ②幼鳥から繁殖羽(第1回繁殖羽)へのパターンが考えられますが、この個体は①②のどちらでしょうか?
この場合の識別点に肩羽の模様があります。
羽根の中に淡褐色のV字や半円状の明白な模様が出ている⇒幼鳥 ⇔成鳥は薄い横斑の模様。
さらにもう一つの識別点に脇羽の最上段にある羽根の形状があります。
肩羽の下にあると白と褐色模様の脇羽が先が尖っています⇒幼鳥 ⇔成鳥は丸くなる。
しかし、あくまで肩羽の模様も脇羽の形状もその傾向にあるということなので見え方、成長具合、個体差などによって変わるので幼鳥と推定にしておきます。
個体C 幼鳥から繁殖羽へ移行中と推定
奥にいる個体を見てください。※手前の個体は同一個体か分かりませんが次の個体Dとそっくりです。
個体Cは、頭部や胸部はすでに繁殖羽のようですが、①脇羽の褐色斑が多くて目立っています②三列風切がないように見えて古い羽根が抜け落ちていると思われる③更には肩羽の大部分が旧羽の状態のままです。
肩羽の拡大図。
肩羽は前述の判断基準からして幼鳥と思われます。
個体D 幼鳥?エクリプス?から繁殖羽へ移行中
脇羽上部に薄い褐色の非繁殖羽が残っています。また新しい三列風切が成長途中です。
個体Bにある識別点はこの状態になると判断できず、幼鳥かエクリプスの雄か分かりません。
上画像の三列風切(白黒のハッキリした短い羽根です)の拡大図。
雄成鳥の繁殖羽の三列風切は下の方に長く垂れ下がりますので、新羽が出始めた状態と思います。
次回はヨシガモ雌を掲載します。