野鳥 オオルリの鳴き声 ジュウイチ編

 

前回2017.4.15の二子山探鳥会でオオルリのさえずりの中にジュウイチの「ジュウイチ」の鳴き声が入っている動画を撮りました。

オオルリの代表的なさえずりは「ピールーリーリー、ジジッ」や「ポイヒーピピ」などですが、「ジュウイチ」という節は通常入りません。

昨年ここ二子山でオオルリの「ジュウイチ」アレンジバージョンを初めて聞いて以来ずっと気になっていましたが、今回も同じエリアで再度聞くことができました。

以下はその動画で撮影時間が夕方17時過ぎであり、かつ手持ちでの撮影となったので、非常に見にくいと思いますがご容赦下さい。

「ジュウイチ」の部分は0.07秒と0.47秒辺りで聞こえます。

以下はジュウイチの鳴き声です。

この動画のオオルリのさえずりに似ていると思いませんか?

鳴き声がだんだん速くなって行きます。

私にはヒステリックな鳴き声に聞こえます!

 

ちなみにジュウイチカッコウホトトギスツツドリなどと同じカッコウ科に属し、主にオオルリコルリルリビタキに托卵します。

托卵される鳥がどれも青い鳥であるのは単なる偶然か?

それとも深い意味があるのか?

これは後日また考えたいと思います。

話を戻します。

なぜ、オオルリのさえずりにジュウイチの鳴き声が入ってしまったのでしょう?

そう聞こえるだけなのか?単なる偶然なのか?そうですと言ってしまうと終わりなので続けます。

ここからが私の仮説ですが、ジュウイチは托卵するためにオオルリの親の動きを把握すべく付近に生息して、隙あらばオオルリの巣に卵を産み落とす段取りのはずです。

近くで共に生活しているわけなので、オオルリジュウイチのけたたましい鳴き声をよく聞いていたことでしょう。

そのため
オオルリの成鳥がジュウイチの声を気に入って?意識的に自分のさえずりに組み入れてしまったケース

オオルリのヒナが巣立つまでの間に、ジュウイチの声がヒナに刷り込まれてしまったケース

により、「ジュウイチ」とさえずるのではないかと考えました。

ちなみにケース①は例えばクロツグミは他の野鳥のさえずりを自分のさえずりの中に取り入れることをよく行いますし、カケスは鳴きマネ名人というあだ名があります。

オオルリも実はこの手の野鳥なのか分かりませんね。

現時点では答えが見つからないのですが、二子山でオオルリの声を聞いてこんなことを考えてみました。

探鳥記 2017.4.15 二子山 16:30~20:30 晴れ

本日は夕暮れ探鳥会なるものを二子山で行った。

夕暮れに行ったのは、①明るい時間帯はウグイスや渡ってきた直後のオオルリセンダイムシクイヤブサメなどの姿を観察したり鳴き声を聴くため、②暗い時間帯はフクロウミゾゴイの鳴き声をあわよくば聴くためである。

コースは大山林道を往復するコースで、折り返し地点の林道終点で日没を迎える予定である。

大山林道手前にある橋付近の斜面や林道入口の辺りでは、例年この時期になると2つのポイントでオオルリが美声を披露してくれるのだが、今日は聞こえない。

今年はすでにオオルリの観察記録があるので、どこかしらで観察できるとは思う。

しかし、確認するまでは企画者としては安心できない。

3か所目のオオルリポイントに近づくと、ようやく懐かしいオオルリの「ピールーリーリー、ジィジィ」という伸びやかな美声が高い所から聞こえて来る。

今年も同じ枯れ枝でさえずっている。

しばらくその姿と美声を味わう。

オオルリは渡来直後は主に縄張り宣言や雌への求愛活動のために木のてっぺんなど高い所でさえずる。

なので、この時期は下からのオオルリ観察となり、見たい上面の瑠璃色よりも下部の白い部分を見る機会が多くてもどかしい。

シロハラビタキと呼んじゃうぞ~。
ようやくオオルリを観察できて一安心。

ウグイスの美声を聞きながら林道を進む。

二子山のウグイスは本当に綺麗に聞こえる。

美声の持ち主がそろっているのか?

狭い谷沿いという地形がそうさせているのか?

林道に設置された看板。みんなで注意して探鳥していきましょう。

4か所目のオオルリポイントに近づくと、ここでも今年さえずりが聞こえてくる。

ここのオオルリは他とは少しさえずりが異なる。

さえずりの途中か最後にジュウイチに似た「ジュウイチ」と鳴くのである。

その声がこちら(⇦ここをクリック)

昨年初めて聞いて注目したのだが、今年も同じようなさえずりである。

昨年と同じ個体かな?

その後、センダイムシクイヤブサメの声も聞くことができ、18時30分に無事林道終点に到着。

昨年の探鳥会は日没後ここで幸運にも山の奥の方からミゾゴイの声を聞いた。

今年はどうなることやら?

ちなみにミゾゴイは夜行性ではないが、繁殖期は夜に鳴く。

それも日没後30分後くらいから鳴き始めるそうだ。

19時まで参加メンバーとミゾゴイの動画を見ながら静かに待つ。

しかし、今年は鳴き声が聞こえない。

残念だが、復路の途中で聞こえる可能性もあるので、戻ることにする。

夜の森は静かで怖いくらいだ。

一人では怖くて歩けないだろう。

懐中電灯で足元を照らして慎重に歩く。

途中で参加メンバーが太鼓を叩くような音を何度も聞く。

私は最後尾にいたので聞き漏らしたが、どうやらツツドリの声のようだ。

参加メンバー同士で検討するも確信が持てないので、今回は野鳥リストに敢えて入れていない。

そして遂にその瞬間がやって来た!

「ボォー、ボォー、ボォー、ボォー」の4コールが遠くの山の方から聞こえて来る。

待ちに待ったミゾゴイの声である。

願望が強すぎて幻聴かと一瞬、耳を疑ったが、、、。

今度は全員が聞くことができた。

今年も二子山のどこかに飛来してくれたのだ。

観察できなくても存在を確認するだけで嬉しい。

参加メンバー同士で聴いたことを興奮気味に確かめ合いながら喜ぶ。

企画者としては最高の瞬間だ。

アンコールを期待したが、それ以後は探鳥会終了までミゾゴイの声は聞こえなかった。

今回、ミゾゴイの声を聞けてラッキーだったが、更に探鳥会をより充実したものとしたのは参加メンバーの野鳥以外の話だ。

天文に詳しいメンバーが夜空を眺めながら星座を解説したり、夜空を輝きながら移動する国際宇宙ステーションを見つけてくれた。

また世界で最も二子山に詳しい?Sさんが暗闇で光るクロマドホタルの幼虫を解説してくれた。

もちろん、ミゾゴイフクロウなど夜の声を聞くことがメインだが、探鳥会の良いところはこういう野鳥以外の話を聞けることだとつくづく思う。

ジュウイチ似のオオルリの鳴き声、国際宇宙ステーションの輝き、クロマドホタルの控えめな光、遠くからのミゾゴイの声、そして無事探鳥会を終えることができたことに感謝。

見聞きした野鳥(観察順)

イワツバメ
メジロ
ムクドリ
ヒヨドリ
カワラヒワ
ホオジロ
ウグイス
ハシブトガラス
シジュウカラ
アオゲラ
オオルリ
カルガモ
ヤブサメ
ヤマガラ
センダイムシクイ
コゲラ
エナガ
ミゾゴイ

計18種

 

レポート 2017.4.15 野毛山動物園 

ミゾゴイを間近で観察したくなったので野毛山動物園へ。

横浜市立野毛山動物園はJR桜木町駅から歩いて約15分の横浜市の中心部にある。

開園は昭和26年で現在100種類以上1000個体以上の動物を有し、今時珍しく入場無料の動物園である。

動物園正面入り口
野毛山ミゾゴイに会うのは今回で3回目。

いつもはじっとして動かないミゾゴイだが、今回はエサがあるのか時々ゆっくり動く。

隣のゲージがインコなのだが、声も姿もにぎやかでミゾゴイと対照的で面白い。

地面中央にいます
このミゾゴイに名前が付けられていたことを初めて知った。

ミゾタロウという名なので雄だったのか。

はじめまして、ミゾタロウです。
金網越しではあるが、こんなに近くでじっくりとミゾゴイを観察できるとは!

ぎこちない歩き方をするので、脚を怪我して自然放鳥できずに、飼育されているのだろう。

しばらく眺めていると、案の定、エサを食べ始めた。

これは動画でとらねば。

エサは肉だが、野生のミゾゴイはミミズが大好物。

 食事の後に水を飲む。

画像にはないが、エサの付いたくちばしを容器に擦り付けて掃除していた。

ちなみに横浜市繁殖センターでは2015年、2016年と2年連続ミゾゴイの繁殖に成功しました。

今年の繁殖を祈るとともに繁殖の成功で新たに分かったミゾゴイの生態が公表されることを望みます。

みなさん、野生のミゾゴイはなかなか見ることはできませんので、雰囲気も含めてミゾゴイを野毛山動物園で観察することをお勧めします!

一度観察しておくと、フィールドでミゾゴイを探す時あるいは不意に出くわした時に役立つことでしょう!!

野毛山動物園では、もちろんミゾゴイの他にも鳥が展示されている。

関東では珍しいツクシガモ雌
ノスリ
クロツラヘラサギ

その他、キジインドクジャクコンドルブロンズトキホオアカトキシロトキキンクロハジロオシドリ、コガモ、マガモ、オナガガモなど。

 

フィールドで野鳥観察するだけでなく、動物園で間近に観察することからも楽しく学べる。

雨の日などフィールドに行けない時は動物園に行くのもありだと思いました。

 

探鳥記 2017.4.2 涸沼(後半)15:30~17:00 晴れ

15:30に涸沼に戻ってきた。

さぁ、いよいよカオグロアメリカムシクイだ!

バーダーから今までの状況を尋ねると、ようやく鳴き声がして動き出したところという。

良いタイミングだ!

カオグロアメリカムシクイの気配や鳴き声に注意しながら待つ。

観察地の風景

右奥の方の草むらで、それらしき声がするので注意するも声も気配も消えた。

人がたくさんいるエリアは皆さんに任せて、もっと右に移動したところ、しまった!

そちらに現れた。

駆けつけたが、時すでに遅し。

カオグロアメリカムシクイは表に出て直ぐに草むらの中に入ってしまった。

ここからは更に必死に探索!

声がしてその辺りを探索すると次にまた別の場所で声がする。

カオグロアメリカムシクイは草の上を飛ぶのではなく、中を通って移動するので神出鬼没だ。

しかし、だんだんカオグロアメリカムシクイの移動リズムが分かってきた(と言い聞かせた)。

自分で見つけるぞ!と思った矢先、同行者からの指摘でひょっこり現れたところを観察できた。

顔の黒よりも胸の黄色の鮮やかさが印象的だった。

直観的にメグロを思い出した。

その後2回観察できたが、動きが速くカメラで撮影することも映像に残すこともできず。

やっと会えたね!撮影者 H・S様
胸の黄色が鮮やか!撮影者 H・S様

カオグロアメリカムシクイの観察を終えての感想は、改めて第一発見者の方が画像に残してくれたことへの感謝である。

画像がなければ、何か見たことのない鳥がいたということで終わっているだろう。

私が野鳥観察を始めた頃の日本鳥学会による公式記録は525種で、現在は633種である。

環境破壊等の進行で野鳥の種類・数が減少する傾向にある中で、108種も記録が増えた。

これは、デジタルカメラの普及と技術により識別や生態をきちんと証拠として残せるようになったことも大きいと思う。

見聞きした野鳥(観察順)

ノスリ
キジ
オオジュリン
トビ
ジョウビタキ
コガモ
オオバン
カイツブリ
カオグロアメリカムシクイ

計9種

探鳥記 2017.4.2 那珂川河口 12:45~14:45 晴れ

涸沼から大洗港を経て那珂川河口に到着。

防波堤の外側で波間に揺れる黒っぽいカモの群れを発見。

一瞬クロガモ?と思ったが、頭部に白い点が見える。

シノリガモだ!

まだ残っていてくれた。

一安心して海岸に近づく。

岸壁にはウミウヒメウウミネコセグロカモメが並んでいる。

付近の磯ではヒドリガモの群れが採餌中。

遠くに緑の頭のカモが見えた。

マガモか?いや、ヨシガモだ。

近くでの識別は簡単だが、遠くからだとヨシガモの頭は緑が目立つ。

那珂川河口

それにしてもここは波が高い。

サーファーも楽しそうだ。

遠くの波間にカンムリカイツブリの小群が見えた。

その中にミミカイツブリの繁殖羽個体が混じっている。

名前の由来である耳の部分が太陽を受けて金色に輝いている。

ミミカイツブリの繁殖羽はこの時期だからこそ観察できるもので意外に見ることは難しい。

少し右に目をやると今度はクロガモ雄3雌1が浮かんでいる。

雄の黄色のくちばしは全身黒だけに遠くても目立つ。

一通り観察できて同行者の間にようやく満足感が漂った。

まだ戻るには時間があるので、もう少し先の磯に向かった。

走行中、磯に白っぽいカモのような鳥が見えたので、停車してよく見るとウミアイサ雄だった。

翼と首の白さが目立つウミアイサ

翼と首の白色が目立って見えたのだろう。

磯で活発に採餌中だ。

気づかれないように岩陰に隠れながら接近する。

10mくらいの距離でじっくり観察できた。

赤い目がちょっとグロテスクな印象を受けた。

目が赤いと怖く見えます

以下の動画の後半に魚を捕まえる場面あり。

時間となったので、涸沼に戻る。

続きは次回。

見聞きした野鳥(観察順)

シノリガモ
ヒドリガモ
カルガモ
カンムリカイツブリ
アカエリカイツブリ
ヒメウ
ウミウ
セグロカモメ
ウミネコ
ヨシガモ
ハクセキレイ
ミミカイツブリ
クロガモ
ウミアイサ
スズメ
アオジ

計16種

探鳥記 2017.4.2 涸沼(前半)9:45~11:45 晴れ

先週から日本初記録のカオグロアメリカムシクイが涸沼で観察されている話は聞いていた。

なぜか気乗りしないまま時が過ぎたのだが、前日に野鳥の大先輩から誘われて決断!

涸沼の向かった。

横浜を7時に出発。
途中で休憩した友部SAではツバメのペアが飛び回っていた。

ツバメは営巣場所と決めているのだろう場所に何度も来ては小休止して飛び立つ行動を繰り返していた。

本当に適した場所なのか用心深く確認しているのかなぁ。

9時半に涸沼の西岸に無事到着。

最近カオグロアメリカムシクイが観察されている場所は西岸のあし原付近。

すでに堤防の上には何十人ものバーダーがいた。

本日は8時半過ぎに観察できたそうだ。

まだ飛び去っていないという安堵と観察したかった口惜しさ半分といったところ。

観察された方からの話によるとカオグロアメリカムシクイは、①声はウグイスの地鳴きに似ていること、②すばやい動きと草むらの中にいることが多いので、非常に観察しづらいとのこと。

探鳥条件を頭に入れて探索開始。

カオグロアメリカムシクイがこのエリアにいると思って探すのと漠然と探すのとでは集中力の度合いが違う。

何度も何度も食い入るように見続けるが、現れない。

集中する分、疲れも溜まってくる。

もともと同じところにじっとしていられない性格なので、2時間が過ぎて限界を迎えた。

カオグロアメリカムシクイは夕方の時間帯の方が観察されやすいと聞いていたので、作戦変更。

気分転換に違う場所で探鳥した後に再挑戦しよう。

前回、2015年2月1日の涸沼探鳥の際は那珂川河口やその周辺にも立ち寄り、クロガモシノリガモなど冬の海鳥観察を楽しんだ。

冬鳥が残っているか心配だが、今回もそのエリアに行こう。

主役不在の中で注目を浴びたオオジュリン

途中、涸沼の南岸にある大網公園に寄った。

前回涸沼探鳥時に来た場所だ。

冬のオオワシの観察場所として適所である。

堤防に上がって涸沼を見る。

ポツンとカモメが2羽浮かんでいるだけで水鳥が何もいない!

広大な水面に漂うカモメ

この分だと那珂川河口も冬の水鳥がいないのでは?と不安がよぎる。

いざ那珂川河口へ!

次回に続く。

見聞きした野鳥(観察順)


キジ
ヒバリ
ハシボソガラス
オオバン
ウグイス
トビ
マガモ
ツグミ
オオジュリン
ジョウビタキ
カモメ

計11種