宿泊先を7時半に出て、大授搦に向けて今日の行動を開始する。
8時頃に昨日カササギを観察した市街地に到着。
カササギが近くの電線に止まったので、車から降りて観察・撮影するも警戒心が強く直ぐに飛び去ってしまう。
直ぐにまた別のカササギを見つけるのだが近からず遠からずの距離。
周囲が民家なのでカメラを構えてうろつくこともできず再出発。
広大な田畑の間を通り抜けて大授搦の堤防が見えて来たが、堤防上にはすでに5台の車がある。
彼らに続け!と堤防に車を止めて急いで準備する。
干潟を見渡すとまだ満潮11時1分の3時間前だが、思っていた以上に潮が満ちており、ダイゼン、ハマシギの姿が見える。
柵越しには30名以上はいるだろうかバーダーがすでに観察中。
我々も干潟に降りて探鳥開始。
目の前にメダイチドリ、トウネン、オオメダイチドリが採餌している。
特にトウネンを見る際はヨーロッパトウネン?ヘラシギ?とじっくり観察するようにした。
だんだん潮が満ちてくるとオバシギ、アオアシシギの姿も目に付き始めた。
アオアシシギの小群を流し見していると、群れの中に違和感のある個体がいる。
じっくり観察するとアオアシシギの色合いなのだが胴体がオバシギのようにずんぐりしている。
念願のカラフトアオアシシギ?と思ってくちばしをチェックしたいも運悪く羽根の中にしまっている。
脚の長さはどうか?と見るとやはり周囲のアオアシシギに比べて短いのが分かる。
いつ特徴あるくちばしを見ることができるかと待っていると、ついに基部の太い反ったくちばしを見せてくれた。
周りのバーダーも大興奮。
しかも幼鳥が2羽もいることが判明。
カラフトアオアシシギ幼鳥2羽 右はオバシギ幼鳥
カラフトアオアシシギは世界的希少種で環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種に認定されている。
観察できた喜びももちろんあるが、絶滅の恐れのある種の幼鳥が2羽もいてくれることに希望を感じた。
カラフトアオアシシギの観察に夢中になってしまい、ふと辺りを見渡すと20mくらいまで潮が満ちてきている。
それに応じてシギチドリ達もこちらに近づいて来る。
カラフトアオアシシギも間近に観察できるのか!と喜んでいると、何とアオアシシギの群れと一緒に飛び去ってしまった!
10時頃になるとハマシギの大群やダイゼンがさらに近づいて来た。
そのタイミングを見計らってバーダー達が防波堤の上に移動し始めた。
私達観察者が防波堤に移動することで、シギチドリ達がさらに柵を超えてこちらに近づくことができて、シギチドリ達に潮が満ちて干潟が消えている間の休憩場所を作るという目的だ。
この行動は大授搦での長年行われてきた観察マナーであり、シギチドリと観察者両方にとっても良いことだ。
しばらく堤防上から眼下のシギチドリ達を観察していたが、満潮になって干潟が消滅するとあんなにたくさんいたシギチドリ達は群れをなして飛び去ってしまった。
どうしたものかとぼんやりていると堤防下のコンクリートブロックのスペースにメダイチドリ、オオメダイチドリ、シロチドリ、トウネンの小型のシギチドリが休憩しているではないか。
しばらくするとダイゼンの群れを中心に柵の上に止まって干潟が出るまで休憩に入った。
今回初めて見るチュウシャクシギ。ダイゼンの群れにいても目立つ存在。
次に現れたのはヒバリシギ。
干潟ではあまり見ないヒバリシギ。渡りの最中に降り立ったのかな。
更に続く。今度は目の前の堤防に何とアオバトが2羽降り立った!
これには周囲のバーダーも大興奮。
満潮を過ぎた頃から今までどこにいたのかダイシャクシギ、ホウロクシギの群れが干潟上空を優雅にゆっくり飛翔したり、何百羽のハマシギの群れやダイゼンの群れなどが行ったり来たりし始めた。
それに合わせてハヤブサが群れに突っ込むが失敗する。
三番瀬ならハヤブサが現れて引っ掻き回したらシギチドリは飛び去ってしまい観察はそこで終了となるが、ここは大授搦。
ハヤブサぐらいでは動じない?何事もなかったように平穏になる。
さらにはシマアジが干潟上を飛ぶ姿までも目撃してしまい、堤防上では飽きることなく野鳥観察ができた。
そうこうしている間に潮が引き始めてシギチドリも干潟が早く現れるポイントで待機するために小移動が盛んである。
右手の奥の方では干潟が出ていない中でダイゼンやアオアシシギらが水面で採餌をしている。
これらの群れの中に脚が赤いシギを見つけた。
アカアシシギかツルシギか?
くちばしを見てアカアシシギと分かった。
どんどん潮が引いていくにつれて、シギチドリが増えていく。
キョウジョシギやウズラシギなど今日初めて見るシギも現れる。
このままシギチドリが増えて行くのかなぁと楽しみにしていると、逆にどんどんシギチドリが遠方に飛び去り始めて、気が付くと目の前に広がる干潟にはほとんどシギチドリは残っていない。
シギチドリは休憩に行ったのか?ここよりもさらに良い餌場を求めに行ったのか?
ここは潮の高さが5mを超える世界であり、分からないことが多い。
潮の満ち引きのスピード感とそれに応じたシギチドリの行動は想像を超えていた。
結局最後までヘラシギは現れなかった。
明日も満潮時のベストなシギチドリ観察をする機会が残っている。
大授搦での観察の仕方を経験できたのは大きい。
明日こそヘラシギを見つけるぞ!
午後からはカササギ撮影を中心に近場を探鳥することにする。
次回に続く。
見聞きした野鳥(観察順)
カササギ
キジバト
ハシブトガラス
ダイゼン
ハマシギ
メダイチドリ
トウネン
オオメダイチドリ
アオサギ
ダイサギ
アオアシシギ
オバシギ
カラフトアオアシシギ
オグロシギ
キリアイ
ツバメ
ハクセキレイ
ダイシャクシギ
ホウロクシギ
ソリハシシギ
シロチドリ
ヒバリシギ
チュウシャクシギ
ハヤブサ
シマアジ
オオソリハシシギ
アオバト
ウズラシギ
アカアシシギ
計29種