深夜2時50分にアラームが部屋に鳴り響いた!
即座に着替え手荷物をまとめて3時に宿を出発する。
辺りは真っ暗である。足元も見えない。
携帯のライト機能を使ってゆっくり前に歩き始める。
街灯がないことは分かっていたので、昨夜植物園から宿に向かう際に道は頭に叩き込んでいる。
それでも道を間違えていないか心配しながら歩く。
途中、ホトトギスが鳴いてくれて心が和む。
この状態で30分かけて植物園入口に無事到着。
ここで昨日「クマ出没注意」の看板が園内にあったことを思い出した!
昨日は一回も目撃情報がなかったが、うわさでは親子連れが付近にいるらしい。
しばらく考えたが、手をたたきながら進むことを決意。
※今回、植物園内では幸運?にもツキノワグマ親子とは遭遇しませんでしたが、奥社参道にある随神門から戸隠キャンプ場へ向かう道で早朝目撃されました。
当初の出没エリアから植物園を経由して移動したと考えられます。
偶然、随神門で会ったバーダーに注意されましたので助かりました。
最低限、熊よけの鈴などで音が発して熊に自分の存在を分からせることは必要です。
また単独行動も非常に危険です。
最新の熊の出没情報は植物園内にある「八十二 森のまなびや」や自治体に問い合わせることをお勧めします。
最近全国で熊の生活圏が広がっているので、戸隠に限らず熊と遭遇する確率も高くなっています。
お互い熊にも注意して野鳥活動していきましょう。
「小川の小径」付近を歩いていると、フクロウの声が聞こえて来た。
時刻は3時47分である。
合計3コールしてくれてしばらく余韻に浸る。
今日の早朝コーラスの鳴き出しはどの鳥か?前回はアカハラだったな、とあれこれ考えていると、突然、闇夜の静寂を破って「キョロン、キョロン チー」とアカハラが鳴き始めてしまった。
3時50分開幕である。
しまった!
早朝のコーラスを聴く場所を決めていたので、急いで向かう。
その間にもアカハラ同士の鳴き合いが始まり、どんどん回数も増えていく。
少なくとも5羽以上の声がする。
しばらくすると今度はクロツグミの鳴き声が加わる。
いよいよ主役の登場である。
両者ともツグミの仲間なので声の質が似ている。
さえずりが共鳴して森に響き渡る。
こんなにクロツグミがこの森にいたのか!嬉しい悲鳴を上げる。
この頃(3:55)のコーラスの様子が下記の動画。
続いてキビタキ、アオジ、ミソサザイ、コルリが続く。
昼間ならミソサザイもコルリも鳴き声でその存在がはっきり分かるが、このコーラスの中では存在感はそれほどでもない。
金管楽器系のメロディーに時々カッコウ、ツツドリ、ハシブトガラスの打楽器系が加わりアクセントを付ける。
意外に思ったのにツツドリの声がこのコーラスの中でも良く通るのである。
おそらく植物園内でただ一人であろう、この全方位から野鳥のさえずりに包まれて至福の時を過ごした。
1時間近く続いたコーラスだったが、あっという間だった。
早朝の夏鳥のコーラスの規模にも驚いたが、更に驚いたことはコーラスが終わると野鳥のさえずりがパタリと鳴き止んで、森が急に静かになったことである。
このギャップは新鮮かつ衝撃的だった。
今この瞬間にこの場所に探鳥に来たならば、「戸隠は夏鳥が減ったねぇ~」という残念な感想を持つことだろう。
少なくとも夏鳥に関しては、そのエリアの野鳥の生息状況は早朝の最初のコーラスでさえずる野鳥の種類と数をバロメーターにするのが日中観察より正確に表していると思う。
野鳥のさえずりも一段落したので、次は参拝者の少ない早朝に奥社と参道の杉並木の雰囲気を味わいたくなった(もちろん探鳥もバッチリするが)。
奥社の参道が始まる鳥居へ向かう。
続きは次回。
見聞きした野鳥(観察順)
ホトトギス(宿から植物園に向かう途中の越水が原で声を確認)
フクロウ
アカハラ(コーラス開始)
クロツグミ
キビタキ
アオジ
ミソサザイ
コルリ
ツツドリ
カッコウ
コサメビタキ
ハシブトガラス
サンショウクイ
ヒヨドリ
ノスリ
カワラヒワ
カルガモ
計17種