大山ダム 13:00~14:10 曇り一時雨
出水平野から車で30分くらい山間部を進むと渓流が現れた。
ヤマセミがいるような雰囲気なので、下の画像を撮影した橋の上からしばらく探鳥。
この画像の風景からの探鳥で短時間の間にアオサギ、キセキレイ、カワセミ、クサシギ、カイツブリ、カワガラス、イソシギ、カルガモと次々と現れて、自然度の高さに驚いた。
特にクサシギは渓流で初めて見たので新鮮な驚きだった。
大山ダムに到着すると小ぶりの雨が降って来た。
車でダム湖を一周するので大した影響はないが、小鳥の出が心配だ。
しかし、直ぐにメジロやエナガの群れに出くわして一安心。
大山ダムでの探鳥記録では、今の時期ならミヤマホオジロ、ウソ、シメ、ルリビタキなどを、通年ではコシジロヤマドリを観察できる可能性があるので、湖面だけでなく道路沿いの樹木や行く手にも注意して探鳥しよう。
またダム湖ということで、神奈川で言うなら丹沢湖を探鳥するイメージを重ねて、周遊道路では視界が開けた場所があれば車を止めて湖面をチェックした。
もちろんヤマセミにも細心の注意を払って探索するも鳴き声も姿もない。
岸辺をよく見るとオシドリがひっそりとたたずんでいる姿を何度も目撃した。
ダム湖の奥に進むにつれて、オシドリの数が増えていき、全部で100羽はいたような気がする。
結局、最後までヤマセミは観察できなかったが、オシドリを観察したり、ミサゴが飛んでくれたりした。
何よりこの静寂に包まれた大きなダム湖を我々だけが探鳥していたので、贅沢な気分となって探鳥を終えた。
この後、ここ数年コウライアイサが観察されているさつま町の轟大橋付近に行った。
しかし、橋周辺を探索しても見当たらず、また今年の飛来が確認されておらず、上下5㎞辺りが生息ポイントで探鳥するには時間がかかる。
錦江湾そばの隼人干拓地にオオホシハジロが滞在中との話を聞いていたので、セーフティな選択を取ることにして、隼人干拓地に向かった。
見聞きした野鳥(観察順)
アオサギ
キセキレイ
カワセミ
クサシギ
カイツブリ
カワガラス
イソシギ
カルガモ
メジロ
ジョウビタキ
エナガ
オシドリ
マガモ
シロハラ
ヤマガラ
ミサゴ
ホシハジロ
ヒヨドリ
シジュウカラ
計17種
隼人干拓地 16:50~17:30 晴れ
目的地を正確に把握していなかったので観察できる夕暮れ前にたどり着けるか心配だった。
目ぼしい候補がいくつかあったが、運よく最初に訪れた場所がいかにも野鳥の密度が濃そうな場所であった。
16:50到着。
この時間なら関東では探鳥は無理だろうから、まだまだチャンスはある。
時間がないので直ぐに水面に浮かぶカモをチェックする。
特に西側の奥に50羽くらいだろうかホシハジロとキンクロハジロの群れが寝ている。
オオホシハジロはこの群れの中にいると推定して重点的にチェックするも、特徴的なくちばしは背中に隠れているし、目立って大きい個体もいない。
群れ以外の水面を丁寧に探すも見当たらず。
残念ながらオオホシハジロはこの場所ではなかったようだと諦めて、今度はツクシガモの群れに注目した。
その数40羽はいるだろうか、何より今回の九州探鳥でツクシガモを最も近くから観察できた。
動画
よく見ると羽毛の色合いが淡い個体、くちばしの基部付近が白い個体がいるが雌と思われる。
雄の繁殖羽はくちばしに大きなこぶ状の突起物が出るのだが、まだ早いのだろう見当たらない。
一通り水面を観察したので、周囲に目をやると池の奥の原野が気になる。
冬のこの時間帯ならチュウヒ、ハイイロチュウヒが草原の上をヒラヒラと舞う姿があってもおかしくない環境である。
海岸の堤防から内陸部に広がる干拓地を望む
堤防付近では到着時からずっと上空を数羽のツバメが飛んでいる。
このまま鹿児島で越冬するのだろうか。
17:30を過ぎた。
オオホシハジロは見当たらず、何となく夕暮れの景色を楽しみながらマッタリと水鳥や周りの風景を見ていると目の前のカモの群れがにわかに活動し始めた。
こちらに3羽のホシハジロの群れが近づいて来た。
何気なくチェックすると、先頭のホシハジロの頭部が他の2羽と明らかに違う。
くちばしが黒く大きく額とスムーズにつながっている。
おぉ、オオホシハジロだ!
背中に注目すると、ホシハジロと比べて淡色な色合いであることがハッキリと分かる。
オオホシハジロの英名はCanvasbackで、油絵などで使用されるキャンバス生地のように白い背中のカモの意味なのであろう。
雄の成鳥は真っ白に見えるくらいであるが、雌も雄ほどではないが、比較されるホシハジロの雌よりは淡い背中の色である。
体の大きさは、オオホシハジロは48~61㎝でホシハジロは42~49㎝で一回り大きいという表現が使われるが、確かに大きいがそこまでの差はないようだ。
最初から群れの中にオオホシハジロがいたのに見つけられなかったのは、一回り大きいという表現に重きを置いて識別していたのが原因だ。
確かにホシハジロの群れのほとんどがくちばしを背中に隠して寝ており、夕暮れ時だから背中の色の差の違いは分かりにくかった。
しかし、一つの識別ポイントに偏るのは危険である、特に大きさは個体差や体毛のふくらみや寝かせで印象がだいぶ変わる、と改めて反省!
成鳥冬羽か第1回冬羽かの判断であるが、①腹部に細かい褐色斑が並んでいる ②顔の模様が一様に見える、と第1回冬羽である。
この画像からでは①は判断できず、②は淡い涙のような後ろに流れるラインが見えるから成鳥冬羽に見える。
したがって識別できないので雌個体にしておく。
動画
カメラ撮影が困難なくらい辺りは暗かったが、何とか動画は撮影できた。やはり背中の淡さは目立つ。
一度首を伸ばすのを観察したのだが、首一個ぐらいホシハジロに比べて高く見えた。
九州探鳥の最後に観察したのがオオホシハジロ。
見事なオオトリを飾ってくれた。
見聞きした野鳥(観察順)
カルガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
アオサギ
コサギ
ツクシガモ
ツバメ
ゴイサギ
ウミネコ
イソシギ
コガモ
オオホシハジロ
計12種 目撃談:ズグロカモメ
参照文献:「日本のカモ識別図鑑」 氏原 巨雄 氏原‣氏原 道昭 著