「九州・沖縄エリア探鳥記」カテゴリーアーカイブ

探鳥記 2017.12.10  九州探鳥⑦ 出水 後半 7:00~12:30  晴れ一時雨

ツル観察センターに到着すると、早朝に来た時より遠くからツルの甲高い声が聞こえて来る。

駐車場付近の農耕地でも早朝より採餌中のツルが目立つ。

クレインパークいずみのHPによると、2017.11.25の調査時点で、ナベヅル14907羽、マナヅル434羽、クロヅル7羽、カナダヅル7羽、ナベクロヅル(ナベヅルクロヅルの交雑種)5羽とのこと。

周囲を見渡すと観察センタ―そばのつる見食堂の看板に目が奪われた。

の文字が逆さに設置されている!その意図が分からなかったが、、、。

食堂の屋上が無料の展望台として開放されているので、早速登ってみると、目の前に以下の光景が広がっていた。

動画

ツル以外では貯水池にオナガガモツクシガモがを発見、やはりツクシガモは遠くからだと体の白さは目立つ。

ツルの多さと甲高い声に圧倒され、ぼ~と見ていると、大好きな焼き芋の香ばしい匂いがする。

そうだ、ここは食堂の上だった。

焼き芋が食べたくなった!ここはなんてったって鹿児島だから薩摩芋の本場でしょ!

下に降りて、食堂のおばさんに購入の意思を伝えると、まだ準備中で焼き上がるのに時間がかかるとのこと。

残念ながら購入を諦めたが、せっかくだから看板の意図を質問してみた。

するとニヤリとして、奥からご主人を呼び出して、ご両人から解説を聴くこと。

ご主人いわく、①つるとすると(経営が)ツルッと滑るのでいけない ②を逆さにするとに見えるので、お客がくるという意味があるそうだ。設置時に付け間違えたと何とも気持ち良い照れ笑いをしてくれた。

駐車場付近ではミヤマガラスの群れが電線に止まったり、農耕地で採餌中である。

筆先のような灰色のくちばしが最大の特徴。


全長47㎝でハシボソガラスよりやや小さい。

撮影できなかったが、群れの中に一回り小さいコクマルガラスも数羽混じっていた。

ツル以外の鳥を探しに荒崎の奥地の海側に向かう。

防波堤沿いの道をゆっくりと進む。

時々、釣り人と会うが、広大な干拓地を貸し切り状態である。

樹木に止まるカラフトワシや水路で採餌中のナベコウなどをイメージして干拓地を探鳥するも妄想に終わったようだ。

たどり着いた河口の洲で、ハマシギの小群を観察した。

動画

ハマシギ第1回冬羽と思われる。

大授搦でのハマシギの大群も良かったが、こういうひっそりとした場所で採餌しているハマシギとの偶然の出会いも嬉しい。

センターに戻る途中、河川沿いの草原にオオジュリンを発見。

似た環境でツリスガラも生息するので、観察の期待が高まるも登場せず。

4種のツルを観察でき、主要なポイントを巡ったので、出水平野での探鳥を終えて、次の目的地に行こう。

そろそろ山野の鳥が恋しくなったので、出水市にある高山ダムに向かうことにした。

続きは次回。

見聞きした野鳥(観察順)

ナベヅル
クロヅル
タゲリ
オナガガモ
ミヤマガラス
コクマルガラス
キジバト
カルガモ
ツグミ
ムクドリ
ホシムクドリ
ニュウナイスズメ
スズメ
アトリ
ハクセキレイ
ホオジロ
アオサギ
モズ
クロヅル
カナダヅル
ヒドリガモ
イソヒヨドリ
ツクシガモ
ヨシガモ
コガモ
トビ
ミサゴ
ハマシギ
バン
ハヤブサ
カイツブリ
ヒヨドリ
オオジュリン
ジョウビタキ
ゴイサギ

計35種

探鳥記 2017.12.10  九州探鳥⑥ 出水 前半 7:00~12:30  曇り一時雨

いよいよ出水で探鳥する日が来た。

7時前にねぐら場所であろう東干拓地前に到着。

草原の中にある水が張られた場所ではツルが大音量で鳴き交わしており、次々とツルが飛び立って行く。

ねぐら場所でのマナヅルの群れ


朝焼けの中、飛翔するツル達

動画①

動画②

動画③ 最後に0.125倍のスロー映像あり

マナヅルナベヅルはたくさんいるので分かったが、カナダヅルクロヅルは確認できず。

後者の2種は明るくなってから、丁寧に探鳥していこう。

ねぐら立ちのピークが過ぎたようなので、荒崎の観察センターへ。

周囲の農耕地にはあちらこちらでツルが採餌中ではあるが、よく映像や画像で目にするツルが配布された穀物に群がっている光景はない。

地元の方によると、毎朝7時半に配布開始で一日に2400㎏の穀物を配布するそうだ。

この時点で、ツルの2大観察エリアの東干拓地と荒崎の観察センターの位置とツルの様子を簡単に把握できた。

本日は正午前から雨の予報なので、雨が降ると見にくくなる珍しいタヒバリ類やムクドリ類など冬の小鳥を探鳥しよう。

冬の小鳥達を探すために隣接する古浜エリアに向かう。

民家が点在するこのエリアでも、ある程度の広さの農耕地があれば、採餌中のツル達をあちこちで観察することができる。

マナヅル 例年約3000羽程度が飛来する


ナベヅル 例年約9000羽程度が飛来する

付近の電線にはムクドリの群れの中にホシムクドリやおそらくカラムクドリだろう姿を観察できた。

ホシムクドリ 最近は毎月会っているような。ここでは5羽を確認。

今度は別の電線にニュウナイスズメの群れを発見。

ニュウナイスズメ初見のメンバーが車内で大興奮!
ニュウナイスズメ 左)雌 右)雄 頭部の色の違いに注目!


よく見たらアトリもちゃっかり写っている。左)アトリ 中)雌 右)雄

電線にいる鳥達が飛び去ったのが潮時と思い、いよいよ本格的にツル探しをすることにしよう。

諫早干拓地ではナベコウを観察できなかったので、出水ではカナダヅルクロヅルをなんとか観察したい。

この2種の観察が難しいのは、①出水では例年この2種はそれぞれ数羽しか飛来しないという数の問題と ②圧倒的数を誇るマナヅルナベヅルに紛れ込むと探すのが困難という問題からである。

先日出水で探鳥した先輩バーダーからの事前情報をもとに、まずはたくさんいる東干拓地で1個体づつ探すことした。

ちょうど採餌中でツル達がひしめき合っている。

じっとしているツルの中から探し出すのも大変なのだから、動いていればなおさらである。
動画

15分くらいは格闘?しただろうか、探し出すことができない。

ちょうど、ツルの監視員と話すことができたので、この2種の現在地を尋ねると、クロヅルは何と目の前50mくらいの場所にいて、メンバー一同、今までどこを見ていたのかと失笑してしまった。

クロヅル 今年はまだ行動パターンを把握しきれていないとのこと。

カナダヅルは東干拓地の左端のエリアにいて、話によると今年はこの付近がカナダヅルファミリーのテリトリーのようである。

遠くにカナダヅルファミリー

最強のアシストによって、無事4種見ることができた。

ツルを4種とも観察できて、ようやく安堵して心も体も軽くなった。

荒崎の観察センター前の採餌の様子も見に行こう。

出水 後半編は次回へ。

見聞きした野鳥(観察順) 前半のみ

ナベヅル
クロヅル
タゲリ
オナガガモ
ミヤマガラス
コクマルガラス
キジバト
カルガモ
ツグミ
ムクドリ
ホシムクドリ
ニュウナイスズメ
スズメ
アトリ
ハクセキレイ
ホオジロ
アオサギ
モズ
クロヅル
カナダヅル
ヒドリガモ

計21種

 

 

 

 

探鳥記 2017.12.9  九州探鳥⑤ 諫早湾 後半 7:30~17:20  晴れ

吾妻干拓地でムネアカタヒバリを観察した後は、いよいよナベコウ探索に集中するために中央旧干拓地に向かう。

今回の九州探鳥の1番の目的はナベコウを見ることなので気合が入る!

今年は一時期2羽のナベコウが観察され、その後も諫早干拓地(特に中央旧干拓地)で観察され続けている。

ナベコウは全長99㎝でコウノトリよりは小さいがダイサギぐらいの大きさであるから、干拓内にいれば大きいので発見しやすいと思っていた。

しかし、農耕地の真ん中でポツンとたたずんでいるなら発見はたやすいが、水路に入って採餌したり、草むらの中に入ってしまったりしたら、発見は簡単ではない。

また、お世話になった方の話によると①諫早干拓地の周辺へ短期間移動も十分可能性があり、昨シーズンも一時期しばらく観察されない日々が続いた。②ナベコウの目撃は中央旧干拓地に集中している ③今週の月・火・水曜日は目撃談がある ④日没まで観察チャンスがあるのであきらめない、とのことである。

ナベコウを発見をできるかできないかは時の運に任せて、できること=広大な干拓地を根気よく探索することをしていこう。

何度も周囲をぐるぐると回って用水路が見える度に車窓から、時には車外に出て探索を繰り返す。

確かに探しては発見できない作業の繰り返しは精神的に厳しいが、探索の合間にコチョウゲンボウクサシギタシギなどの思わぬ出会いもあり嬉しいことも多いので、楽しい時間ではある。

遠くの電線にコチョウゲンボウ雌タイプ カワラヒワは逃げないで大丈夫? 

しかし、発見できずに時間だけがどんどん過ぎていく。

これまで中央旧干拓地だけに範囲を絞ってきたが、気分転換も兼ねて中央新干拓地にこの日初めて移動する。

こちらは新しくできた干拓地らしく、堤防内は農地も道路も整理されて運動公園のような雰囲気である。

運動公園と例えてしまったが、ここは諫早干拓地。

広大な農耕地には約80羽近くのナベヅルマナヅルの群れやミヤマガラスの大群が採餌中。

堤防に上がると目の前に広大な草原が広がり、渡良瀬遊水地の鷹見台からの風景を連想させる。

草原の中にある樹木になりやら猛禽類が止まっている、コチョウゲンボウの雌タイプだ。

それにしても諫早干拓地ではコチョウゲンボウを観察する機会が多く、早朝から6回は見たか。

この辺りで待機していたら、夕暮れまでに様々な猛禽類が観察できそうだが、やはりナベコウが気になる。

11月にはクロハゲワシも現れた!

次の探索場所は早朝盛り上がりを見せた森山干拓地へ。

森山干拓地最奥地のポイント

早朝の鳥の濃さに期待したが、早朝より野鳥の動きが鈍く、ここでもナベコウも発見できず。

しかし、早朝は観察できなかった2羽のヒシクイを観察することができて、戻って来た甲斐があった。


ジョウビタキ

夕暮れが近づき、再度中央旧干拓地から新干拓地へ向かう。

中央新干拓地では道路近くでマナヅルが採餌している。
動画 ※最後に0.25倍スロー画像あり

後半の翼をバタつかせて飛び跳ねているのはどんな意味があるのか?餌場の確保を誇示しているのかも?

17時を回り、未練たらしく最後に中央旧干拓地の探索を行うも結局ナベコウは現れず。

やることは全てやったと言い聞かせて諫早干拓地での探鳥を終えた。

※今回は地元バーダーAさんには大変お世話になり、また気持ち良く探鳥を行うことができました。メンバー全員が諫早干拓地デビューであり、Aさんのアドバイスとガイドがなければ、あの広大な干拓地で迷鳥となっていたでしょう。

さぁ、寒い中での探鳥を終えて暖かい場所で温かい食事でもしよう!という流れに乗りたかったが、ここからが鹿児島県の出水までの大移動の始まり。

出水まで移動するのに高速道路を使って有明海をぐるっと時計回りで移動する手段と島原半島からフェリーで有明海を横断して熊本から出水に向かう手段がある。

今回は運転手への負担をできる限り減らしたかったので、後者を選択して島原半島の多比良港から長洲港経由で出水に移動した。

途中食事もしたので出水到着は22:30となった。

続きは次回。

見聞きした野鳥(観察順) 前後半合計

アトリ
マナヅル
カワラヒワ
トビ
マガモ
コガモ
モズ
カワウ
チュウヒ
ハヤブサ
ツグミ
ノスリ
ホオジロ
シロハラ
アオジ
ウグイス
カンムリカイツブリ
ヒヨドリ
ミコアイサ
トモエガモ
ダイサギ
クロツラヘラサギ
ヘラサギ
カシラダカ
ベニマシコ
ハイイロチュウヒ
オオジュリン
チョウゲンボウ
ミサゴ
アオサギ
タヒバリ
ハクセキレイ
スズメ
バン
コサギ
ウミアイサ
ジョウビタキ
シジュウカラ
ヒバリ
ムネアカタヒバリ
コチョウゲンボウ
タシギ
キセキレイ
イソシギ
クサシギ
ゴイサギ
ナベヅル
ミヤマガラス
ヒドリガモ
ヒシクイ
ハシボソガラス

計51種

探鳥記 2017.12.9  九州探鳥④ 諫早湾 前半 7:30~17:20  晴れ

早朝に長崎市内を出発して諫早干拓地へ。

広大な諫早干拓地なので、中央水路を目指して森山干拓地(※以後、森山干拓地・吾妻干拓地・中央旧干拓地・中央新干拓地が登場しますが、全て諫早干拓地内のエリアごとの呼び名です)から入ることにした。

干拓地に入ると電線に止まったり、上空を乱舞するアトリの大群が目に飛び込んできた!

いきなり派手なお迎えだ!

動画

何羽いるのか数えたくないぐらいのアトリの大群!

初めてアトリの存在を知ったのは、小学生の頃に見た写真図鑑に掲載されていたアトリの大群であり、雪山を背景に大空を飛翔している姿であった。

最初に見た野鳥の印象や野鳥の生息環境がその後の野鳥観察に影響することは多いと思う。

私の場合、図鑑のアトリ=大群というイメージが強く、その後に冬季に都市公園でアトリを観察しても何か物足りなさを感じていたのだが、今回はまさにアトリそのものだった。

アトリ鑑賞を終えて、周囲の農耕地に気を配ると、遠くの方でマナヅル親子が3羽採餌をしていた。

森山干拓地を海に向かって真っすぐ進み、行き位止まりの場所でしばらく探鳥することにした。

早朝でまだ目の前の草原も湖沼も静かに雰囲気だったが、いかにも野鳥がいそうな雰囲気だ。

気温が上がり始めたのか草原も水辺も野鳥達が動き始めた。

水辺ではトモエガモの一列縦隊が横切ったり、クロツラヘラサギヘラサギの共に幼鳥が一緒に採餌行動をしていた。

草原ではホオジロアオジベニマシコカシラダカオオジュリンを、樹上では多数のツグミを観察。

時々草原の上空をチュウヒが舞い、ハイイロチュウヒ雄の登場はこの場所でのハイライトだった。

チュウヒ類はどこからか飛んで来たというより、突然目の前に現れていたので、おそらくねぐら立ちを観察したと思う。

全面ばかりに集中していたが、メンバーが後ろの鉄塔にいるハヤブサを見つけた。

動画

羽繕いをしているなどどこかのんびりムードが漂う。
この場所がねぐらで、仕事始めの準備かな?

1時間の間に30種弱の野鳥を次々と見聞きすることになり、アトリの大群、マナヅル親子からの流れで、今日の探鳥は物凄いことになるのでは?と、メンバー一同興奮を隠せなかった。

ナベコウをなるべく早い時間に見つけて、その後の探鳥をのんびり行いたいのと、広大な干拓地のおおよその様子を早く把握して野鳥の濃いポイントを見つけたいので、名残おしくも中央水路方面に移動する。

移動途中に、車を止めて観察している地元バーダーの雰囲気のある方を発見。

干拓内の様子が分からないので、なんとかアドバイスをいただきたい。

ダメもとでご挨拶すると、やはり地元で観察なさっている方(以下Aさん)で、有益なアドバイスと情報をいただいた。

さらに幸運にもAさんに吾妻干拓地を案内してもらえることになった。

吾妻干拓地に行くまでに途中途中でAさんの観察ポイントで探鳥した。


先ほど盛り上がった観察場所の裏手の位置 この場所の方が水鳥の様子は観察しやすい。


カワセミが近くに止まってくれた。見つけるとどうしても写したくなる。


大群とは敢えて距離を置く一匹狼ならぬアトリ


オオタカ 遠目でも眉斑の白と胸の縦斑が目立つ。幼鳥から成鳥への換羽中に見える。

吾妻干拓地のムネアカタヒバリが観察できるポイントに到着した。

ここにはタヒバリヒバリムネアカタヒバリが混じっているとのこと。

車内から鳥を飛ばさないように注意深く観察する。

明らかに頭部の赤橙色が他の2種と異なり、すぐに分かった。


ネアカタヒバリ 背中の胸の黒褐色の太い縦斑が目立つ。


 顔アップ 冬羽はカオアカタヒバリと名付けてもよいくらい頭部の赤橙色が目立つ。

吾妻干拓地でムネアカタヒバリを観察した後は、いよいよナベコウ探索に集中するために中央旧干拓地に向かう。

お世話になったAさんとは一度お別れをするも、この後も引き続き干拓内の要所で再会することになった。

諫早干拓地 後半は次回。

見聞きした野鳥(観察順) 前半のみ

アトリ
マナヅル
カワラヒワ
トビ
マガモ
コガモ
モズ
カワウ
チュウヒ
ハヤブサ
ツグミ
ノスリ
ホオジロ
シロハラ
アオジ
ウグイス
カンムリカイツブリ
ヒヨドリ
ミコアイサ
トモエガモ
ダイサギ
クロツラヘラサギ
ヘラサギ
カシラダカ
ベニマシコ
ハイイロチュウヒ
オオジュリン
チョウゲンボウ
ミサゴ
アオサギ
タヒバリ
ハクセキレイ
スズメ
バン
コサギ
ウミアイサ
ジョウビタキ
シジュウカラ
ヒバリ
ムネアカタヒバリ

計40種

探鳥記 2017.12.8 九州探鳥③ 白石市貯水池~鹿島新籠 15:45~17:05 曇り 

白石市貯水池 15:45~16:05 曇り

大授搦から白石市の有明海寄りにある貯水池へ。

この辺りは春秋のシギチドリの渡りシーズンの際は、大授搦が満潮を迎えて観察が難しくなる時間帯になると白石市に移動して水田や蓮田で淡水系シギチドリの観察を行うバーダーが多い。

前回の探鳥では残念ながら白石市周辺を探鳥する機会がなかったので、今回はシギチドリの渡りの時期ではないが、今後のためにもどんな場所か把握しておきたかった。

とはいっても、白石市のどの場所が探鳥にふさわしいのか分からないが、同行メンバーの嗅覚で有明海寄りの貯水池に行くことにした。

広大な農耕地を進む車窓からズグロカモメの飛ぶ姿が見えた。

そろそろ目的地かな?とふと左手の農耕地に目をやると、尾が長めのスマートなタヒバリ系の鳥を発見!

その場では種を絞り切れなかったが、その後の観察メンバーとの分析でマミジロタヒバリと判定した。

もっとじっくりと観察したかったし、また現場で識別ポイントを素早く正確に把握しないといけないと反省。

周囲を見渡すとタゲリがあちこちにいることに気が付く。

今回のツアーではタゲリを九州の各地で普通に観察することができた。


タゲリ 体上面のほとんどに薄い羽縁があるので第1回冬羽と推定

タゲリ観察を終えるとすぐに貯水池にたどり着いた。

思っていた以上に広大で、ざっと見渡すとそれほどカモがいないと思ったが、よく見ると奥の方にカモの大群が!

ホシハジロキンクロハジロスズガモと海洋性のカモが多いのが特徴。


反対側の様子。こちらも奥の方にもカモが相当数いた。

カモ観察には良い場所であるし、周辺の農耕地もタヒバリ類が楽しめそうだ。

16:15を回った。

日没までに何とか鹿島新籠に立ち寄らねば!

急いで移動する。

見聞きした野鳥(観察順)

ズグロカモメ
マミジロタヒバリ
タゲリ
ホシハジロ
キンクロハジロ
スズガモ
オオバン
オカヨシガモ
ユリカモメ
ヒバリ

計10種

鹿島新籠(かしましんごもり) 16:40~17:05 曇り

鹿島新籠に向かう途中、信号待ちの車窓からカササギを撮影する。

前回訪れた際に、冬季はズグロカモメクロツラヘラサギが観察される場所と設置看板にあったので、今回はどうしても探鳥したかった場所であった。
鹿島新籠はH27.5.28に大授搦(登録名称は東よか干潟)と同時にラムサール条約の登録地となったばかりであり、登録名称は肥前鹿島干潟である。

出発間際に遠方で採餌中のクロツラヘラサギを発見!
動画

日没が近くなり観察条件が悪くなっても独特の頭を左右に振りながら採餌する姿は目立つ。

暗くなったきたので、本日の宿泊地の長崎市内に向かう。

辺りはずいぶんと暗くなっていたが、通り道だったので前回訪れた七浦干拓地内のため池にあいさつをして本日の探鳥を終えた。

※このエリアの前回2017.9.10の探鳥記はこちら

見聞きした野鳥(観察順)

ズグロカモメ
クロツラヘラサギ

計2種

 

探鳥記 2017.12.8 九州探鳥② 大授搦 後半 11:40~14:50 曇り一時雨

前回からの続き。

堤防上で帰り支度をしている最中にミサゴが上空を飛んでくれた。

ここではトビよりミサゴの方が観察頻度が高い。

動画※最後に0.125倍スロー映像あり

ミサゴが大授搦での鳥の見納めと思ったが、せっかくだから干潟の裏にある後背地での冬鳥観察をすることにした。

ツリスガラタヒバリ類、淡水系シギチドリなどをざっと探してみよう。

まず向かった先は隣接する干潟よか公園で、ただ単にトイレ休憩するだけの立ち寄りが素晴らしい幸運をもたらしてくれた。

駐車場に止まって何気なくフロントガラス越しに目の前の樹上に目をやると、ハトが2羽とまっている。

いつものならキジバトがいるで終わってしまうのだが、頭に先ほどのシラコバト情報があったのだろう、左にいる個体の方が右個体より一回りぐらい小さいことに気が付いた。

以前、上野動物園でシラコバトキジバトと一緒に観察したことがあるのだが、その時の大きさの違いと似ている気がした。
参考動画 ※BGMにセミと子供の声

逆光気味だが急いで双眼鏡で観察すると、頭部がキジバトにしては明るい灰色と感じた。

観察したメンバーによると喉元付近がより白く見えたそうだ。

ここで2羽のハトは奥の森の方に飛び去ってしまい、慌てて車外に出て1羽の居場所を突き止めたが、距離が遠すぎてどうしようもない。

こうなったらシラコバト?探索することにして公園内での探鳥を開始。

公園入口の橋に立つと、向こうから鳴きながらカワセミ2羽がこちらに向かって来た。

もう求愛活動かと思いきや後ろから追いかけてきたのが急ターンして枝先に止まった。

急いで観察すると後ろに飛んでいたカワセミの正体は実はモズの雄で、モズカワセミの狩りを試みるも失敗した状況を観察していたのだった。

カワセミの方がモズより速いようだ。

シラコバト?探索を進めよう。

公園内の芝生ではツグミがあちこちで採餌しているがハトの姿は見えない。

樹木を丁寧にチェックするも、キジバト見つけるがシラコバト?は見つからず。

ふと公園外側を見ると電線にキジバトが1羽また1羽と止まり始めた。

この流れでシラコバト?も止まってくれないか!と祈る気持ちで周囲を観察していると、樹木の間をすり抜けるように体上面が灰色で翼の先端部が黒っぽいハトが飛ぶ姿を見た!

大雑把にハイイロチュウヒ雄の飛翔イメージである。

そばで一緒に観察したメンバーと、キジバトとは明らかに違う模様であることあるを確認して、後で検討する保留事項とした。

※帰宅後、改めて文献等を調べたところ、東アジア圏内で観察されるハトの飛翔時の模様のうち、今回観察した模様はシラコバトベニバトが候補に挙がるが、ベニバトムクドリより小さいので明らかに違うこと、そして最初に観察した頭部付近の印象からシラコバトと判断した。
また、シラコバトは中国東部も生息圏であり、九州への飛来も不自然ではなく近年九州各地での観察例があること、翌日に諫早湾でお会いした方が2日後同じ場所でシラコバトを撮影していることも間接的な判断材料となった。

結局シラコバトは電線に止まらずにその先の畑の方に向かって行方不明となった。

シラコバトを追って川のほとりに出たのが、その場所は水鳥のたまり場でツルシギハシビロガモコガモが集まっていた。
発見当初は2羽いたと思っていたツルシギだったが、合計8羽もいることが判明して、メンバー全員、本日一番の盛り上がりを見せた。

ツルシギ 肩羽に新羽が見えるので第一回冬羽に移行中と思われる。
動画

最後の最後に続々と登場!

ハシビロガモももちろんチェック!


ハシビロガモ雌若い個体 三列風切の羽縁が白く、くちばしが綺麗な黄土色。


黄土色の虹彩もチェック!

しばらく観察したかったが、次の目的地での探鳥時間が少なくなってきたので、切り上げることにした。

帰り際に、カササギ街道でようやくカササギを観察できて気持ちよく大授搦を去ることができた。

次の大授搦への訪問は春のシギチドリ観察かな?

次回に続く。

見聞きした野鳥(観察順)前後半合計

チョウゲンボウ
スズメ
ハシボソガラス
ズグロカモメ
ツクシガモ
ダイシャクシギ
チュウシャクシギ
ハマシギ
シロチドリ
ダイゼン
セグロカモメ
ミヤコドリ
クロツラヘラサギ
ユリカモメ
アオアシシギ
メダイチドリ
マガモ
オナガガモ
ハクセキレイ
ダイサギ
ミサゴ
キジバト
ハシビロガモ
カワセミ
モズ
ツグミ
シラコバト
ツルシギ
コガモ
コサギ
アオサギ
ハシブトガラス
カササギ

計33種 目撃談:カワラヒワ、ソリハシシギ

 

探鳥記 2017.12.8 九州探鳥① 大授搦 前半 11:40~14:50 曇り一時雨

前日になって参加メンバーからヒメハマシギが大授搦で観察されているとの情報がもたらされた!

今回の2泊3日のツアーでは、大授搦での探鳥は2日目の諫早湾から出水への移動の途中に立ち寄ってズグロカモメツクシガモを観察するだけに留める予定だった。

が、ヒメハマシギが観察できるチャンスがあるとなれば、話は変わる。

諫早湾でナベコウ探索に時間をかけたいので、予定通り2日目に行くことも考えたが、いつヒメハマシギが飛び去るか分からないし、潮位も初日は5.1m、2日目は4.8mと5mを切ってまう。

大授搦は遠浅の干潟なので、少なくとも5m以上が観察に適した最低ラインであるし、ヒメハマシギのような小型のシギを探索するには潮が満ちてより近くで観察できる初日の方が良いに決まっている。

実際のところ、機内での動向メンバーとの話合いでようやくこの結論に至ったのは有明海の上空を過ぎた頃である。

長崎空港到着後は迷うことなく真っ直ぐ大授搦へ。

大授搦付近に近づくと前回の探鳥癖?で車窓からのカササギ探索が自然と行われた。

前回は車で通る度にカササギを観察できたカササギ街道でも見当たらなかったが、飛翔するカササギを観察できたメンバーもいた。

大授搦の懐かしい堤防が見えてくると、前回のシギチドリ探鳥の思い出と今回の期待感で気分が一気に高揚する。

堤防上に駐車して、現場にいたバーダーの皆さんにヒメハマシギ等の干潟にいる野鳥の状況を尋ねると、本日は観察していないとのこと。

彼らは堤防裏の桜並木に来るシラコバトを待っているようである。

シラコバト

まずは満潮近いタイミングでヒメハマシギを探すことに夢中で、その時は関心を示さなかったが、後々この情報のおかげでシラコバト観察につながった。

準備を終えて目の前に広がる広大な干潟を眺めると、この中からヒメハマシギを探すのかとしばらく呆然とする。

遠くから眺めると、ヒラヒラと飛んでいるズグロカモメ、脇羽の白が目立つツクシガモ、干潟で一番大きいダイシャクシギが目に付く。

干潟の降りて再度近距離からざっと観察すると、あちこちに鳥がいるので観察に迷ってしまうが、まずはダイシャクシギの群れに注目!

9月の探鳥時でもダイシャクシギの群れを観察したが、ここまでは多くなかった。ざっと50羽はいるか。

よく見るとややくちばしが短い幼鳥やチュウシャクシギも混じっている。
ダイシャクシギ。下腹から下尾筒の白さが目立つ。

ダイシャクシギの群れの周囲にはハマシギシロチドリミヤコドリがおり、改めてダイシャクシギの大きさが分かる。

左手からコサギの群れが飛んで来たと思ったら、何とクロツラヘラサギだった。

突如現れたクロツラヘラサギの群れ。


ヘラ状のくちばしは逆光でも目立つ。

単体のクロツラヘラサギは何度も葛西臨海公園で観察しているが、数えてみると14羽の群れであり、さすが大授搦である。

クロツラヘラサギは干潟に降り立ったので採餌ではなく休息するのだろう。

ダイシャクシギのそばではツクシガモが採餌に夢中だ。

ツクシガモは干潟にたくさんいるのだが、ほとんど奥の水際にいるので観察・撮影には苦労した。
動画

ツクシガモを中心にさっと干潟の様子を撮影。

この個体だけがかろうじて近くにいてくれて助かった。
動画

ツクシガモ成鳥雌

右手を見るとハマシギの大群が上空をしばらく右往左往したのちに干潟に舞い降りた。

この中にヒメハマシギがいる可能性があると降り立った場所近くに移動する。

ヒメハマシギヨーロッパトウネンくちばしが長いタイプとざっくりイメージして、集中力が持つ限り、ひたすら探した。

探索中の合間にシロチドリメダイチドリを見つけたり、上空を飛んだり干潟でじっとカニを待ち構える?休憩する?ズグロカモメを観察。
動画

ハマシギの群れを駆け抜けるメダイチドリ

以前、ズグロカモメを冬に葛西臨海公園で1羽観察したことがあるが、ここは本場の越冬地九州だから数が違う。

干潟にはユリカモメもいるがズグロカモメの方が断然多い。

ユリカモメと比較すると、くちばしの色よりも短さの方が違いが目立つ。

ズグロカモメ成鳥冬羽  ユリカモメに比べてくちばしが短くがっしりしているのが特徴

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強風で鳴き声が聞こえないのが残念!

引き続きヒメハマシギ探索は続くも見当たらず。

すでに南に飛び去ってしまったのか?潮位などの条件が悪いだけで有明海のどこかにいるのか?もともと今回の九州探鳥で観察できるとは思わなかったが、かすっていただけに残念ではある。

またアカツクシガモソリハシセイタカシギは冬の大授搦だったら観察できると淡い期待をしていたので、ヒメハマシギより残念度は高い(※先日、大授搦でアカツクシガモが観察されたとのこと)。

満潮が近づくにつれ鳥達がこちらに近づくのを期待したが、満潮時間の12時41分となっても干潟も鳥達にもさほどの変化がない。
動画

強風と時折降る小雨の中で、本来の目的だったツクシガモズグロカモメをじっくり観察できたし、本日中に探鳥したい場所も他にあるので、今回はこの辺で終わりにしよう。


ダイシャクシギ 干潟でのラストショット
大授搦後半編は次回に続く。

見聞きした野鳥(観察順)前半のみ

チョウゲンボウ
スズメ
ハシボソガラス
ズグロカモメ
ツクシガモ
ダイシャクシギ
チュウシャクシギ
ハマシギ
シロチドリ
ダイゼン
セグロカモメ
ミヤコドリ
クロツラヘラサギ
ユリカモメ
アオアシシギ
メダイチドリ
マガモ
オナガガモ
ハクセキレイ
ダイサギ

計20種 目撃談:カワラヒワ、ソリハシシギ

探鳥記 2017.9.8~10 九州探鳥 まとめ 

行動記録

9月8日:長崎空港 ⇒ 佐世保市 烏帽子岳 ⇒ 佐賀市 大授搦 ⇒ 佐賀市内のホテル

9月9日:佐賀市内のホテル ⇒ 大授搦 ⇒ 佐賀空港周辺 ⇒ 大授搦 ⇒ 大川市内のホテル

9月10日:大川市内のホテル ⇒ 大授搦 ⇒ 七浦海岸 ⇒ 肥前鹿島干潟 ⇒ 大授搦 ⇒ 佐賀空港

※探鳥記ではバーダー通称の大授搦(だいじゅがらみ)と表記していますが、ラムサール条約では東よか干潟と表記、Google Mapでは干潟よか公園と表記されています。

烏帽子岳の探鳥雑感

アカハラダカの渡りの時期は野鳥の会長崎支部の皆さんが中心となって調査を行っています。皆さん、親切な方々で新参者の我々も気持ちよく観察ができました。

・初めてアカハラダカを観察する方は長崎支部のHPに観察情報がありますので御参考ください。

・長崎県の各地のポイントでアカハラダカの渡りが観察できますが、烏帽子岳が場所も良く観察者も多いので観察最適地だそうです。

・近距離からの観察・撮影なら7時から8時くらいに烏帽子岳付近でアカハラダカねぐら立ちするタイミングを狙うこと。

・思うに対馬からの飛来はおそらく午前中がメインで、長崎支部の皆さんの話では朝鮮半島からの飛来は午後からだそうです。どちらも数は多いですが高く飛ぶので撮影は厳しいです。

・烏帽子岳付近にはコンビニ等食料を購入する場所がありません。

大授搦の探鳥雑感

・今回の九州探鳥の最大の目的はヘラシギを観察することでした。直前にヘラシギ目撃情報がありましたが、地元の観察者の話では?でした。ヘラシギの推定生息数は約400羽とのことですから、大授搦といえども観察するのは難しいです。

トウネンの数が予想以上に少なかったです。8月以降30羽前後の飛来が続いているそうで、こんなに少ないとトウネンの群れの中で見つかることの多いヘラシギ観察も厳しいのではないでしょうか。

・傾向として秋はシギチドリの種類が多いが数はそれほどでもないが、春は種類は秋ほどではないが数は10倍以上になるとのこと。

・現地には食料を購入する場所はありませんが、付近の道路沿いにはコンビニがいくつもあります。

・大授搦での長年行われてきた観察マナーがあります。
それは満潮時に干潟の手前にある柵まで潮が満ちて来る前に観察者が防波堤の上に移動する⇒シギチドリがさらに柵を超えて防波堤に近づくことができる⇒干潟が消えている間のシギチドリの休憩場所にしてもらうというマナーです。
このマナーはシギチドリと観察者両方にとっても良いことです。
2日間とも潮が満ちてそのまま干潟の場所に残って観察している人が数人いたので、人を恐れてシギチドリが近づけない、あるいは避けて遠くで休憩する状態が起きていました。
おそらく居残っていた観察者も知らないだけだと思いますが、こちらから上がってきてくださいと声をかけづらい状況というか勇気がありませんでした。
このマナーをあらかじめ知っていたので自分も主体的に防波堤に上がりましたが、知らなかったらその場に残っていたかも知れません。

左に柵が、右に防波堤が見えます。中央のコンクリートの道には潮が満ちた跡がありますね。

見聞きした野鳥 (日本鳥類目録 改訂第7版の順番)

マガモ
カルガモ
ハシビロガモ
シマアジ
キジバト
アオバト
カワウ
アマサギ
ダイサギ
チュウサギ
コサギ
ダイゼン
シロチドリ
メダイチドリ
オオメダイチドリ
オオハシシギ
オグロシギ
オオソリハシシギ
チュウシャクシギ
ダイシャクシギ
ホウロクシギ
アカアシシギ
コアオアシシギ
アオアシシギ
カラフトアオアシシギ
キアシシギ
ソリハシシギ
イソシギ
キョウジョシギ
オバシギ
コオバシギ
トウネン
ヒバリシギ
ウズラシギ
ハマシギ
キリアイ
ミサゴ
ハチクマ
トビ
アカハラダカ
チョウゲンボウ
チゴハヤブサ
ハヤブサ
カケス
カササギ
ハシボソガラス
ハシブトガラス
シジュウカラ
ヒバリ
ツバメ
ヒヨドリ
ウグイス
メジロ
セッカ
ムクドリ
ハクセキレイ
スズメ

計57種

探鳥記 2017.9.10 九州探鳥⑦ 鹿島市沿岸~大授搦 15:00~17:30 晴れ 

遅い昼食をすませて、鹿島市へ。

この時期に大授搦で探鳥をするバーダーの多くは、午後は白石市のハス田を中心にタカブシギクサシギウズラシギヒバリシギジシギ類を求めて探鳥するそうだ。

我々もその流れに乗るのもありと考えたが、先ほど地元の方のおススメで鹿島市で観察できるというツルシギに会いたくなった。

移動距離と帰りの飛行機の時間を考えると白石市と鹿島市の両方で探鳥するのは厳しいので鹿島市探鳥を選んだ。

七浦海岸 15:00~15:30

1時間かけて目的地の七浦海岸そばの干拓地に到着。

七浦干拓地内のため池

ひっそりとしたため池で浅瀬がなくシギチドリの気配を感じなかったが、良く見ると岸に数十羽のアオアシシギが休憩しているではないか!

ゆっくり車で近づいたが、10羽ぐらいのアオアシシギが気配を察知して飛び去ってしまった。

車内に響く悲鳴!

もういないか?と周囲の水際を観察するとまだまだ40羽くらいアオアシシギがじっとしている。


ピンボケ画像ですが、休憩中のアオアシシギの群れ

目的のツルシギはどこにいる?

必死に探すも見当たらない。

時間がないので場所を変えよう。

このそばにラムサール条約に認定されている肥前鹿島干潟があるのだ。

恥ずかしながら行きの途中の道路標識の記載で初めてその存在を知った!

肥前鹿島干潟(鹿島新籠) 15:45~16:00

狭い農道を抜けて堤防沿いの道を進むと、お立ち台にたどり着いた。

そこから有明海を望む。

ただただ広いの一言である。

干潟のグレーと青空の二色の世界。

広大な干潟上にはアオアシシギが2羽ポツンポツンとたたずんでいる。

ダイシャクシギホウロクシギの採餌光景を期待したのだが、、、。

看板を見ると冬季はズグロカモメツクシガモクロツラヘラサギの観察には期待が持てる!


コーワのプロミナーが設置されているお立ち台

16時になった。

早めに佐賀空港付近に戻って、帰りの飛行機の出発時刻までの時間調整は空港そばの大授搦で探鳥することにした。

大授搦 17:00~17:30

大授搦そばで車窓からカササギを見納めして堤防上に到着。

帰りの飛行機の時間を考えると30分ぐらいしか時間はなかったが、最後まで探鳥することにした。

堤防上からざっと干潟を眺める。

ダイゼンミサゴオグロシギ

この干潟では意外にもミサゴを見たのは初めてか。

干潟に降りるとまたも直ぐにオオメダイチドリに会えた。

今回の九州探鳥ではメダイチドリよりも観察する機会が多かった。

今年は三番瀬でオオメダイチドリの十分な予習ができたおかげで見つけやすかったのかも。


九州探鳥の締めはオオメダイチドリ

しばらくはオオメダイチドリには会えないのかな?

春の繁殖羽のオオメダイチドリに会いに大授搦を再訪したい。


夕陽に別れを告げて

3日間無事に楽しく探鳥を終えることができた。

参加メンバーの皆さん、お疲れさまでした!

見聞きした野鳥(観察順)

鹿島市
アオアシシギ50
イソシギ
カワウ
ダイサギ
アオサギ
スズメ
チュウサギ

大授搦
カササギ
ダイゼン
ミサゴ
オグロシギ
オオメダイチドリ

計12種

探鳥記 2017.9.10 九州探鳥⑥ 佐賀市 大授搦 6:40~13:30 晴れ 

大川市内の宿泊先を6時に出発して大授搦に向かう。

6時45分に大授搦に到着。

本日の満潮時刻は11:38だから5時間前に到着!気合入りすぎ?

本日は日本野鳥の会佐賀支部主催の探鳥会が9時から開催されるので、開始まで干潟で自主探鳥である。

干潟の中央から右端まで進んで戻ってくるコースを取る。

昨日の様子から右側の方がシギチドリの出が良いような気がする。


早朝のため観察エリアのバーダーも少ない

干潟に降りると今回もダイゼンハマシギメダイチドリオオメダイチドリが目に入る。

今日はオバシギ幼鳥が近くで採餌中。

オバシギ幼鳥

遠くまで潮が引いてシギチドリは見にくいが、大授搦の探鳥に慣れて来たのか見つけにくいことはない。

メンバー全員で次々とシギチドリを見つけていく。

特にアオアシシギの群れの中にカラフトアオアシシギが混じっていないか?トウネンの群れの中にヘラシギが混じっていないか?細心の注意を払って観察する。

ハマシギの小群にキリアイを見つけた。

遠くからだとくちばしの短いタシギたいに見える。

キリアイは東京湾岸では観察されると話題になるシギチドリだが、ここでは少なくとも20羽前後はいるようで普通種の感じで観察できた。

またキリアイは採餌中も休憩中もハマシギのそばで見かけることが多かった。

コオバシギキアシシギを発見するも近くで観察すれば問題ないが、遠くでの観察となると意外と迷う。

右端までたどり着くと目の前で2羽のトウネンがそばで採餌中。

はるか遠くではダイシャクシギが広い干潟でポツンと採餌中。

くちばしの長さと下腹の白さで判定した。

九時の探鳥会に間に合うように戻る途中、干潟にアカアシシギを見つけた。

このアカアシシギ、昨日に比べて発色の良い赤脚が目立つし、採餌に夢中になって動き回っている。

こんなに機敏にくちばしを水面上で横に振って採餌するアカアシシギの姿を初めて見た。

もうすぐ9時だ、先を急ごう。

佐賀支部の探鳥会の集合場所は堤防上にある展望台付近である。

案内板と右奥に望遠鏡が設置されている。

9時になりいよいよ探鳥会がスタートする。

今回の探鳥会は特別にヤング探鳥会と名打っており、中心となってヤング探鳥会を行っている東京支部の方も多く参加している。

遠くはなんと北海道からの参加者もいた。

総勢50人以上はいるだろうか。

いよいよ干潟に降りて探鳥スタート。


探鳥会の様子

だんだん潮が満ちてきてシギチドリが近づいて来ている。

やはり距離が近いと観察の楽しさも増す。

さらに探鳥しながら地元の参加者の方と大授搦や付近の探鳥地など探鳥談義に盛り上がった。

普段は話しづらくて挨拶で終わってしまうことが多いが、参加者というだけで初対面で話すハードルが低くなるのが探鳥会の良いところだ。

あまりに話に夢中になって集団から遅れ出したので急いで向かう。

追いついた先で参加者が興奮気味にスコープでシギチドリを観察している。

ついにヘラシギ登場か?

残念!カラフトアオアシシギであった(何と贅沢なセリフ)。

カラフトアオアシシギがいつ飛んでしまうか分からないので、とりあえず観察者のスコープをのぞかせてもらった。

やはり昨日と同じずんぐりした印象であった。

自分のスコープで観察しようとした矢先、もっと先の方に移動してしまった。

急いで観察するために先を急ぐことにするも、さらに奥に飛び去ってしまったそうで結局その後は観察できず。

昨日と同じようにじっくり観察する時間があると思い込んでいただけに残念だ。

悔しがっていると目の前に今回の探鳥ツアー初観察のオオハシシギがいる、しかも2羽。

採餌中のシギチドリが多い中でお休みモードである。

オオハシシギは珍しいシギではないが観察する機会が意外と少ないシギだ。

上面は灰褐色が目立ちほぼ冬羽といってもよさそうだが、下部はまだ繁殖羽の名残が見える。

更に潮が満ちて来て、ハマシギキリアイメダイチドリトウネンなどの小型のシギチドリは干潟にこれ以上採餌ができなくなり、飛び去り始めた。

これと変わるようにホウロクシギダイシャクシギが飛来して目の前の水面に降り立つ。

ダイシャクシギホウロクシギが観察できる葛西臨海公園でもここまで近くで観察するのは難しい。


ダイシャクシギの立派なくちばし!


奥)ダイシャクシギ 手前)ダイゼン

潮が満ちて来る中、私達観察者が柵越しにいるのでシギチドリもこれ以上前に移動できない状況になったので、昨日同様に堤防上からの観察に切り換える。

このタイミングで佐賀支部の探鳥会も終了した。

探鳥会中もヘラシギは観察できなかったが、現在この場所でいるだろうシギチドリは観察できた。

佐賀支部の皆さん、お疲れさまでした!

 

引き続き堤防上から観察する。

今回も干潟に残っている観察者がいる。

昨日同様、人を警戒してシギチドリはそばまで飛来しないのか?周囲に困惑の空気が広がる。

そんな中で右端のほうにハマシギダイゼンキリアイトウネンメダイチドリなどのシギチドリの大群が降り立った。


観察者を避けて一番奥で休憩中のシギチドリ


その後、潮が引き始めて干潟が現れると飛び去った。

潮が引き始めるとシギチドリが群れで干潟の上空を行き来し始めた。

その群れを狙って今日もハヤブサが登場するも狩りは失敗、、、。

ダイシャクシギホウロクシギの飛行はゆっくりで優雅な雰囲気がある。


腰が白いのがダイシャクシギで他はホウロクシギ

柵上ではチュウシャクシギオオソリハシシギ幼鳥が休憩中。

このオオソリハシシギはくちばしが短く見えるので雄と思われる。

並んでみるとチュウシャクシギの方が大きいのが分かる。


左)チュウシャクシギ 右)オオソリハシシギ

 

13:15頃の干潟の様子。

ハマシギダイゼンの群れを中心に干潟に降り立っているが、ほとんど採餌行動をしていない。

その様子の動画

今回も昨日同様に大多数のシギチドリがそのまま干潟で本格的に採餌をするのではなく、しばらくすると飛び去ってしまった。

そしてその様子を待って我々の探鳥も終了となった。

地元の方から鹿島市のため池にツルシギが集団で観察できる場所があると聞いたので、食事休憩後にそちらに向かうこととした。

見聞きした野鳥(観察順)

カササギ
キジバト
ハシボソガラス
スズメ
ツバメ
ハクセキレイ
ダイゼン
ハマシギ
アオサギ
ダイサギ
メダイチドリ
オオメダイチドリ
オバシギ
トウネン
アオアシシギ
オグロシギ
キリアイ
ソリハシシギ
シロチドリ
ウズラシギ
コオバシギ
キアシシギ
アカアシシギ
チュウシャクシギ
コアオアシシギ
ダイシャクシギ
ハシビロガモ
ホウロクシギ
カラフトアオアシシギ
オオハシシギ
トビ
ハヤブサ
キョウジョシギ
オオソリハシシギ
セッカ

計35種